鈴懸のすず籠(黒)

名店・老舗店がひしめく伊勢丹新宿店地下食品フロアの和菓子コーナー。その中にあって、休日には長蛇の列、売り切れの品も続出という人気ぶりで、ひと際目を引くのが福岡発の和菓子店<鈴懸>です。

洗練された店頭のディスプレイ、そのショーケースを覗いてみると……。食べるのがもったいなく思ってしまいそうな愛らしい形の最中、モダンな籠の箱詰めなど、一つひとつ目を奪われてしまうものばかり。そして実際食べてみると、どのお菓子も見た目からの期待を裏切らない、なんとも「美しい」味わいなのです。

まずは見た目にひと目惚れ、そしてその味わいに「ひと口惚れ」せずにはいられない和菓子ブランド<鈴懸>。その魅力を探るべく、代表の中岡生公さんにお話を聞きました。

「自分たちが食べたい和菓子」の追求から生まれたスタイル

鈴懸の○餅最中盛

福岡・博多に本店を構える<鈴懸>の創業は1923年。もともとは、地元の人たちに愛される和菓子店だったこの店が、全国から注目を集めるようになったのは、三代目の中岡生公さんが実務を取り仕切るようになってからのようです。

「自分たちが美味しいと感じるもの、おもしろいと感じることを続けてきたら、いつの間にか今の形になっていた……という感じです。和菓子屋だからこうしなきゃいけない、という特別なこだわりもなくて、たとえば店の空間やパッケージなどの見た目の部分はいくら変わってもいいと思っているんです。一方で、基本の味や製法など、変えてはいけないこともある。そこをきちんと線引きして後は自由に楽しめればいいなと」

そんな<鈴懸>の考え方を象徴するのが、ご進物用の包装として人気の「籠詰め」。これは20年ほど前に、中岡さんのアイディアで生まれたものだそう。

「無造作に詰められている紙の箱って綺麗なものでも、何気なく捨てられてしまうことが多いですよね。だったら必要な人だけがもらえるよう有料にして、その分特別な贈り物だと感じてもらえるものにしたらどうか……というアイディアからでした」

<鈴懸>のトレードマークともなったかわいらしい黒い籠は、中の和菓子を目にする前に、相手の気持ちをほころばせるちょっとした心遣いに。春夏期限定で爽やかな白籠になるというのも、遊び心を感じます。

新しいものを楽しむ姿勢がブランドイメージに直結

新しいものを楽しむ姿勢がブランドイメージに直結

<鈴懸>の魅力を形作る店舗デザインやパッケージなど、洗練されたビジュアルも実は中岡さんの「楽しみ」が思わぬ形で実を結んだもの。

「空間デザインをお願いしている二俣公一さんは今や世界的に活躍するデザイナーですが、出会った当時はまだ無名の青年でした。いや、特に地元貢献の意識があるとかではなくて、単純に僕自身が若手のクリエイターたちとの交流が好きだから、なんですが(笑)」

クリエイターたちと中岡さん

<鈴懸>のビジュアルイメージを牽引するクリエイターたち。左から写真家の水﨑浩志さん、デザイナーの二俣公一さん、中岡さん、グラフィックデザイナーの岩下建作さん。

中岡さんは福岡を中心に、九州で活躍する若手クリエイターとの交流を続け、有名・無名関わらずセンスに惹かれたクリエイターは積極的に仕事を依頼しているのだそうです。

その姿勢は和菓子作りにも一貫しています。

「うちには、カリスマ的な職人はいません。新製品のアイディアは全世代の職人みんなから出してもらい、食べてみたいなと思ったら採用します。みんなが美味しい、食べたいと思うものを商品にしているだけなんです」

伊勢丹新宿店で際立つ<鈴懸>の特徴のひとつ、店頭の奥で生菓子を作る店内厨房の仕掛けも、戦略的なものはなく「和菓子店として自然だから」といいます。

「店の奥で手作りされたものを、そのまま店頭で売るのは何も特別なことではなくて、ごく普通の和菓子店のスタイルですよね。伊勢丹新宿店への出店が決まったときにも、それだけは変えたくなかったんです」

<鈴懸>を知るなら。外せない「鈴乃〇餅」と「鈴乃最中」

鈴懸の鈴乃〇餅と鈴乃最中

<鈴懸>(左)鈴乃〇餅(1個) 108円(税込)、(右)鈴乃最中(1個) 108円(税込)

なんとも魅力的な哲学から生み出される<鈴懸>の和菓子、ますます食べてみたくなりますよね。まずはおさえておきたい定番の和菓子をご紹介。

かわいらしいひと口サイズで手軽に楽しめる「鈴乃〇餅」

愛らしいサイズ感とモチモチの食感で大人気の「鈴乃〇餅」。伊勢丹新宿店では、1日に約1,000個も売り上げるのだそうです。

どら焼きとは違う、しっとりモチモチした皮の食感を出すために、佐賀県産のもち米「ヒヨクモチ」を使用。そして何個でも手が伸びてしまう絶妙な甘さと食感のあんこにはある工夫が。

「こしあんに加えて、あえて小豆の粒を入れているんです。こうすることで、こしあんのあっさり感に、小豆の風味が加わります」

ブランドを象徴する「鈴乃最中」

鈴の形をしたひと口サイズの最中……愛らしさに顔がほころんでしまうビジュアルの「鈴乃最中」も、同じくお店の看板商品。

「最中をもっと身近な存在に感じてほしいな、というところから、手軽にひと口で食べられるこのサイズ感になりました。鈴の形にしたことで、お店を象徴する商品になりましたね」

新潟県産のもち米「こがねもち」を使用した芳しい最中皮がパリパリと崩れる食感、中のあんこが口の中で調和する瞬間がたまりません。

<鈴懸>の魅力は、実は「福岡という土地柄も関係しているのかも」、と中岡さんはいいます。

「アジアをはじめ、世界との距離も近く感じるんです。和菓子だから日本の食材にこだわらなければいけないという意識もなくて、美味しいと感じたものは積極的に取り入れていきたいし、おもしろいと思うことをどんどん追求していきたいですね」

「イノベーション」――和菓子とは少しかけ離れた、そんな言葉すら気負いなく似合うブランド<鈴懸>。今後どんなお菓子が生み出されていくのか、ますます楽しみです。

文: 斉藤彰子

写真提供:鈴懸
※本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです。商品の情報は予告なく改定、変更させていただく場合がございます。

商品の取扱いについて

記事で紹介している商品は、伊勢丹新宿店本館地下1階=甘の味/鈴懸にてお取扱いがございます。 

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