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2015.10.09

京都の老舗<飯尾醸造>が伝授! お酢の正しい選び方、使い方

お酢の使い方いろいろ

世界三大美女のひとり、クレオパトラは酢に真珠を溶かして飲んだ……というのは有名な話。

古くから親しまれている調味料でありながら、家庭の食卓で酢が活躍するときは、お寿司や酢の物、酢漬け……。塩やしょうゆと比べると、限られているような気がしませんか? でも、それは酢の本当の実力を知らないだけ!

そこで、「富士酢」で有名な明治26年創業のお酢屋さん、<飯尾醸造>の五代目当主・飯尾彰浩さんに、お酢のイロハを教えてもらいました。
酢を選ぶときは、何で決めている?——————答えられなかった人は、先へ進みましょう。

そもそも「お酢」って一体なに?

ひと言でいうと、「お酒を酢酸菌で発酵させたもの」だそうです。世界のお酢を見てみると、それがよくわかります。

ワインの国、フランスではワインビネガー、ビールが有名なイギリスやドイツではモルトビネガーが主流。となると、日本では……そう、日本酒から造られる米酢がもっとも一般的ですよね。つまり、お酢はその地域で飲まれているお酒と密接な関係にあるのです。「酒のあるところ、かならず酢あり」という言葉もあるそうで、世界には4000種もの酢があると言われています。

では、日本でもっとも一般的な米を主原料にしたお酢、薄い黄金色のお酢のなかにも種類があることをご存知ですか?

お酢いろいろ

おいしいお酢の見分け方、
2つの鉄則

まずは、原材料を見よ!

酢の種類を解説した表

 

「米酢や穀物酢に比べて、純米酢はまろやかな酸味やうまみが特徴です。原材料の表示を見ると、それらの違いはすぐにわかります。米のほかに、アルコールや穀類が入っていれば、米酢か穀物酢というわけです」

  造り方で、味に大きな違いが出る

酢の製法ごとの違いを解説した表

お酢のツンとした酸味が苦手、という人もいると思います。実はそれ、お酢ならどれもツンとするわけではなく、醸造法で大きく違いが出るところなのだそうです。

「酢の発酵法は大きく3種類に分けられます。そのうち製法を記載しているのは、静置発酵とつぼ造りのみなので、ラベルで見分けることができます」

今まで酢が苦手だったという人は、ぜひ発酵法が違うものを試してみてください。

お酢の意外な活用法3つ

酢の用途、酢飯

お寿司や酢の物など、和食には欠かせない調味料であるお酢。でも、お酢の実力は料理の味付けだけではありません! 意外な裏技を飯尾さんに教えてもらいました。

麺つゆにお酢を入れると、さっぱり&風味豊かに

「麺つゆに酸味がわからない程度の少量のお酢を入れるだけで、そばもうどんもさっぱりとして格段においしくなります。また、うどんをゆでるときのお湯に、少しだけお酢を入れると、麺の表面がなめらかになり、つやのあるゆであがりになります」

魚の皮にお酢を塗って焼くと、美しく仕上がる

「お酢は魚の臭みをとったり、酸味をつけたりするだけではありません。魚の皮にお酢を塗って、5分くらいおいてから焼くと、焼き網に皮がつかなくなるんです」

ピクルス液の二段活用!

「まずは、ジッパー付き保存袋に野菜を入れ、その1/3量の『ピクル酢』<飯尾醸造>を加え、1日おけば簡単にピクルスができます。その残り汁にオリーブオイルと塩を加えればドレッシングに。生の鶏肉に塩を塗って浸ければマリネになります。野菜のうまみが溶け出しているので、そのまま焼くだけでおいしいですよ」

お酢のパワーは、食用以外でも大活躍!

酢の使い方

殺菌力の高さを活かしてお掃除に

「お酢は殺菌力が強いため、封を開けても、冷蔵庫で保存する必要はありません。流しの下などの冷暗所で保存しておけば大丈夫です。ただし、『ゆずぽん酢』や『すし酢』など、果汁やだしが入っているものは、開封したら冷蔵庫で保存してください」

お酢の賞味期限は、だいたい2年程度だそうです。もし、うっかり切らしてしまっても……安心してください。お酢は、食用以外でも暮らしに役立てることができます。

「お酢を200〜300倍に薄めて、洗剤代わりに使用してみてください。キッチン周りの汚れを落とすことができるだけでなく、お酢はアルコールよりも殺菌力があるのです」

お風呂にも少量をたらして

お酢のパワーはそれだけにとどまりません。

「お酢をリンス代わりに使う人もいます。ほとんどのシャンプーは洗った後、髪がアルカリ性に傾くのですが、それをお酢が中和してくれます。同様に、お風呂のお湯にお酢を少量たらすだけで、アルカリ性に傾いたお湯を弱酸性にするので、お肌にもうれしいです。」

食べてもよし、暮らしの知恵にもよし。大活躍の調味料、お酢を使いこなさなくちゃ、もったいないですね。

取材協力/飯尾醸造 飯尾彰浩さん

飯尾彰浩さん

京都府宮津市で、無農薬の米づくりからこだわり、昔ながらの製法でお酢を造り続ける<飯尾醸造>の五代目当主。「手巻キング」の別名で手巻き寿司を世の中に広める活動も行う。飯尾醸造ではこれまで一部の寿司屋にしか卸していなかった「赤酢プレミアム」を「富士手巻きすし酢」として一般発売開始。砂糖不使用ながら、ほんのりとしたやさしい甘みが感じられる一品になっている。

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文: 吉田佳代子

写真提供:Thinkstock/Getty Images、八田政玄(人物)
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伊勢丹オンラインストアでは、<飯尾醸造>の一部商品をお取扱いいたしております。

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