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2023.08.03

フルーツ

美味しい桃の見分け方とは? 保存方法や食べごろ、旬の品種をフルーツ専門店が解説!

桃のイメージ

ふんわりと甘い香りに、ジューシーな味わいの「桃」は、夏の定番フルーツですよね。ただせっかく買った桃が「あまり甘くない」「かたすぎる」といった経験がある人も多いのでは?

そこで今回は、美味しい桃を見分けるポイントを、日本橋三越本店にあるフルーツ専門店<サン・フルーツ>店長の阿部昌弘さんに解説してもらいました。実は桃の産地によって、チェックするべきポイントは違うのだとか!

あわせて桃の保存方法や美味しく食べるコツ、買った桃が「かたかった」「熟しすぎていた」場合の対処法もご紹介。目からうろこのプロの技が満載です!

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【美味しい桃の見分け方】丸くて平べったい形が正解!

桃の部位

まずは、店頭で桃を購入するときに見るべきポイントからチェックしましょう。

購入時、美味しい桃を見分けるポイントとなるのが果実の形と大きさです。「果頂部(先端部)」から見た時に、くぼんだ部分「縫合線(ほうごうせん)」の左右に丸みがあり、平べったい大きな桃が美味しい桃なのだとか。

「桃は先端の果頂部から全体に養分がいきわたります。左右均一に丸みが出ていて上下に平べったい形の果実は、養分が等しく行き届いている証で、美味しい桃といえます。一方で、縫合線の左右の大きさが異なる『変形』と呼ばれる桃があります。これは中の種が割れてしまい、果実への養分供給が不均一になった状態。小さい側は養分供給が途絶え、美味しくない場合があるので避けるのがベターです。

また最近は品種や栽培方法の改良が進み、『大きい桃=美味しい』傾向になってきました。そのため、大きくて左右がふっくら丸く、上下が平べったい桃を選ぶといいでしょう」(阿部さん)

【桃の食べごろの見分け方】緑色が抜け、甘い香りがしたら完熟です!

次に、購入した桃の食べごろについて見ていきましょう。購入後すぐに食べたいとき、少し時間をおいて食べたいときで、買うべき桃の違いもわかります。

●【香り】桃特有の甘い香りが立っている

桃の食べごろを見分けるポイントとして、特にわかりやすいのが「香り」。桃特有の甘い香りがしたら、食べごろのサインです。

「桃特有の甘い香りの正体は、主に『ラクトン』と呼ばれる成分です。このラクトンは、果実の半分ほど緑色が残っている完熟4日前に収穫し、一定期間置いた(追熟)果実が最も多くなる。つまり完熟する手前で収穫した桃が、最も甘い香りを感じるのです」

●【感触】ふんわりやわらかくなっている

桃の一部をやさしく触ったときに、ふんわりやわらかくなっていたら食べごろです。

「ただし、店頭の桃を触ると傷めてしまうため、必ず購入後に行うようにしましょう」

●【うぶ毛】表面の細かな毛が抜けやすくなっている

桃表面の細かなうぶ毛も目安の一つになります。

「表面のうぶ毛を触ってみて、抜けやすくなっていたら熟している証です。ただし、花粉症の方はこのうぶ毛に反応が出てしまうことがあるため、冷蔵庫に入れる前には洗って落としておくことをおすすめします」

●【色】「ピンクや赤色=美味しい桃」とは限らない!?

「ピンクや赤みの強い桃が美味しい」と考える方も多いのでは? しかし、桃は産地によって食べごろの色味は異なるのだとか。

「実は桃の色味をどのように仕上げるかは、同一品種でも産地によって考え方が異なるため、一概にはいえないんです。

岡山県産の桃

岡山県産の桃

岡山県ではない他県産の桃

岡山県以外の他県産の桃

具体的には、岡山県産とそれ以外という違いになります。岡山県産の桃は、未熟なうちは緑色をしています。それが成熟すると、先端部分から赤みがさし、同時に全体的に緑色が抜けていきます。桃全体がほんのりピンクがかった白色になったら食べごろです。

それに対して岡山県産以外の桃は、最初から赤い状態で店頭に並ぶため、緑色の抜けがわかりません。そのため、色ではなく、香りや感触などで判断します」

この岡山県産と他県産の色味の違いは、生育方法によるものだそう。

「岡山県産の桃は、果肉をなめらかな食感に仕上げるために、あえて日光を遮断して育てます。そのため外見は白いのが特徴です。一方、岡山県産以外の桃は、日光によく当てて育てるため真っ赤な色味になるのです」

産地ごとに桃の色味に違いがあるなんて知りませんでした! 味わいの違いも気になるので、ぜひ食べ比べてみたいですね。

【桃の保存方法】未熟な桃は常温保存、完熟桃はすぐに冷蔵庫へ

桃は軽く触れるだけで傷んでしまったり、日持ちしなかったりと、とてもデリケートなフルーツ。熟成具合にあわせて保存方法を変えるのが、美味しくいただくコツです。

「桃は完熟すると非常にやわらかくなるので、未熟な状態で収穫・発送します。そのため、輸送時の状況によっては、未熟な状態で店舗に並んでいる可能性もあります。

緑色が残っている桃は熟成が足りないので、すぐには食べず、直射日光の当たらない、あたたかな常温の場所に置いておきましょう。ヘタ側を下にして、桃の下に緩衝材を敷いておけば、桃が傷みません」

一方、完熟した桃はすぐ冷蔵庫に入れたほうがいいのだとか。

「完熟桃の場合、熟成が進むと傷み始めてしまいます。追熟を止めるためにも、冷蔵庫で保存してください。追熟させた桃をすぐに食べきれない場合も、冷蔵庫で保存しておきましょう」

桃の食べごろと保存方法をまとめると、以下の通りになります。

熟成具合 見分け方 保存方法
未熟 ・果実に緑色が残っている ・直射日光のあたらない、暖かい場所で常温保存
・ヘタを下にし、緩衝材を敷く
完熟 ・果実の緑色が抜けている(岡山県産は白く、それ以外は赤い)
・甘い香りが立っている
・表面のうぶ毛が抜けやすい
・冷蔵庫で保存

【桃の食べ方・レシピ】氷水で10分冷やしてから縦にカットで、甘み&香りを最大限味わえる!

桃を氷で冷やしているイメージ

●【桃の香りと甘みを立たせる方法】氷水で約10分冷やす

桃の魅力といえば、ジューシーな甘みと芳醇な香り、どちらも外せませんよね。しかし阿部さんによると、桃の「甘み」が最も引き立つのは4℃ほどの低温、一方で最も「香り」が立つのは 15℃以上の高温。つまり、桃の「甘み」と「香り」を最大限引き出す条件がまったく逆なのだとか。

ただし、ちょっとしたコツで、甘みと香りの両方を引き出せる食べ方があるそうです。

「ポイントは“氷水でちょっと冷やすこと”。水で表面のうぶ毛をしっかり洗い落としてから、氷水を入れたボウルに桃を入れて10分程度おいておきましょう。この時、桃は氷水に半分浸かる程度でOK。できれば、まんべんなく冷やすために途中で天地をひっくり返してください。

この方法なら、桃の表面は低温になって甘みをよく感じられる一方、桃の内部はそこまで冷えないため、香りがよく立つんです」

●【桃の切り方】果頂部がまんべんなくくるよう、縦方向に切る

次にカットするときのポイントを見ていきましょう。

桃の部位

桃の甘みの強弱 部位
A 最も甘みが強い 果頂部付近
B 甘みが強い 左右に張った丸い部分
C 甘みが弱い 果梗部付近
D 最も甘みが弱い 縫合線部分

桃は場所によって甘さが異なります。甘みは下に落ちていくので、縫合線の下側の果頂部が最も甘い部分。美味しい部分を最大限味わうためには、その果頂部に向けて縦方向に切るのがコツだとか。

「甘い部分を公平に分けられるので、『こっちのひと切れは甘いけど、こっちのひと切れは甘くない…』といった事態を避けられますよ」

買った桃が「かたい」場合、「熟し過ぎている」場合はどうすればいい?

買ってきた桃が「まだかたかった」「熟しすぎていた」といった経験はありませんか? 未熟だったり、熟し過ぎていたりする桃の場合でも、美味しく食べることができるという、プロならではの方法を教えてもらいました。

●【かたい場合】基本は追熟。カット済みなら中華料理に使っても

桃がかたいのは、熟成が足りない状態。カット前であれば、直射日光の当たらない暖かい場所で追熟させましょう。甘い香りがしたら食べごろです。

カットしてしまったら、追熟はできません。おすすめの対処法は、加熱して料理に入れること。甘みが強くジューシーな桃は、特に味の濃い中華料理と相性満点です。材料を加熱するとき、サイコロ状に切った桃を合わせて調理すると、甘みが加わり料理の奥行が広がります。

●【熟しすぎの場合】8月以降の桃はコンポートにするのが◎

桃は出荷時期によってかたさが違います。8月以降に出回る桃は、品種によって異なりますが比較的かため。煮崩れしにくいので、熟し過ぎた場合はシロップで煮るコンポートにするのがおすすめです。

熟した桃で作るのがおすすめ!「桃のコンポート」の作り方(レシピ)

<材料>(2〜3人分)

  • 桃…約300g
  • 砂糖…30g
  • レモンの絞り汁(好みで)…少々

<作り方>

  1. 桃は皮をむいて種を除き3cm角に切り、鍋に砂糖とともに入れる。時間があればそのまま数時間おいて水分を出す。
  2. 鍋にふたをし、弱火にかけて煮る。桃がくたっとやわらかくなったら火を止める。
  3. 好みでレモンの絞り汁をふって混ぜ、粗熱をとったあと、保存容器に移して冷蔵庫でしっかり冷やす。

「焦げやすいので注意しましょう。煮ている途中で、赤ワインや黒ぶどうの皮を入れても風味が加わって美味しいですよ」

食べごろを逃してしまっても、工夫次第で美味しく食べられるのですね。桃の季節を最後まで楽しむために、ぜひ取り入れてみたいと思います。

<サン・フルーツ>で買える、8月に旬を迎える桃の品種をご紹介!

旬の桃のイメージ

8月は、岡山県産を中心に、さまざまな品種の桃が食べごろを迎えます。2023年に<サン・フルーツ>で買うことができる桃から、代表的な品種と特徴を教えてもらいました。

★スマートフォンなどの場合、表をスクロールさせて右端まで閲覧してください

品種 産地 出荷時期(目安) 糖度 特徴
川中島白桃 岡山、
福島
岡山:8月5日〜20日
福島:8月15日〜30日
14 大玉。果肉はややかたく、日持ちがいい。
白麗
(はくれい)
岡山 8月15日〜30日 15 透き通るように白い外観が特徴。
果肉はややかたく、ジューシー。
瀬戸内白桃 岡山 8月1日〜15日 14 8月後半に遅れて成熟する。
果肉はかたく、日持ちがいい。
白皇
(はくおう)
岡山 8月15日〜25日 17 岡山の人気品種を交配して生まれた新品種。
糖度が高く、果肉はややかたい。
恵白
(めぐみはく)
岡山 8月25日〜9月10日 16 「さくら」と同一品種で生産量は少なめ。
程よい歯応えが特徴。
さくら 山梨、
福島
山梨:8月20日〜9月10日
福島:8月25日〜9月15日
16 大玉で高糖度。香りはやや少なめ。

大玉で食べ応えのある「川中島白桃」や、ややかための果肉でジューシーな味わいの「白麗」、高糖度で大玉の「恵白」「さくら」など、品種によってさまざまな魅力があります。

それぞれ出荷時期が異なります。迷った場合は、ぜひ店頭で<サン・フルーツ>のスタッフにお問い合わせください!

※取扱い:日本橋三越本店 新館地下2階

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香りや形などから美味しい桃を見分けるポイントや、甘みや香りを引き出す保存方法・食べ方をご紹介しました。産地によって、見分けるポイントが違うとは驚きでした。桃を購入する時は、ぜひ産地もチェックしてみてください!

取材協力/<サン・フルーツ>

<サンフルーツ>

創業90余年のフルーツ専門店。旬のフルーツを中心に、品種や産地、生産者などにこだわった多様なフルーツを取り扱っている。手軽に食べられるカットフルーツをはじめ、ジャム、コンポート、ゼリー、ジュースなどの加工品も充実。

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文:阿部雅美

商品の取扱いについて

記事で紹介している商品は、日本橋三越本店 新館地下2階 サン・フルーツにてお取扱いがございます。

※本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです。商品の情報は予告なく改定、変更させていただく場合がございます。

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