漆器の汁椀に豚汁を入れたところ

いつかは上手になりたい器選び。選び方のセンスってどう磨くの? という疑問に器のプロがこたえるこの企画。以前の記事では、その入門編として「豆皿」の選び方と使い方を解説。さらに、器選びの基本となるご飯「茶碗」の選び方についても紹介しました。3回目の今回のテーマは「お椀」です。ご飯茶碗と同様、基本の器のひとつなんだそう。

今回取り上げるお椀は「漆器」。値段もそれなりにしますし、ルールや決まりがあって選ぶのが難しそうなイメージです。その反面、編集部内で「挑戦したい」という声が多かったアイテムでもありました。

初心者でも扱いやすく、きちんと作られていて、長く使えるお椀。一体どうやって選べばいいんでしょうか?

どんな種類があるの? 正式なスタイルって?

さまざまな種類の漆器を並べたところ

教えていただくのは、各メディアで器の愉しみ方を提案する、器キュレーターのはるやまひろたかさん。まず、漆器の初心者からよく聞くのが「正式なスタイルはあるの?」という疑問です。

「汁物を入れるお椀は『汁椀』と呼びます。さまざまな種類がありますが、その中でも漆器の汁椀はスタンダードと言えるもの。さらに、漆器の汁椀にもさまざまなタイプがありますが、特に『正式』と決まった正解はありません。あらたまった席では蓋付きが使われることが多いですが、ふだん使いという前提で言わせてもらえば、『これでなければいけない』ということはないんです」

形でいうと、1、2のようなボウルタイプや、3のような丸みを帯びた形、4のように縁が反ったものや5の蓋付き、6のような足が高く大きいタイプなどがあります。

「例えば6は『合鹿椀(ごうろくわん)』と呼ばれるもので、もともと石川県能登の合鹿地方で作られていたローカルなお椀の形状。床に置いた状態で食事がしやすいよう、高台(脚の部分)が高くなっています。そういう背景から見えてくるのは、地方ごとに育まれた形状や塗り方などがあるということ。面白い点ですよね。それだけバリエーションがあるのだから、今の時代、少なくともふだん使いでは、『正式』かどうかを気にする必要はないんじゃないでしょうか」

色も、漆器というと「朱色」や「黒」のイメージがありますが、木目が見えるものや、(写真にはありませんが)緑やベージュのものなど、広いバリエーションがあるんだそう。

プロが教える、長く使える「汁椀」選びのコツ4つ

話をしているはるやまひろたかさん

では、長く使える漆器の汁椀はどうやって選んだらいいのでしょうか? 選び方のコツを4つ教えていただきました。

【コツ1】装飾が少なく、落ち着いた色のものを選ぶ

【コツ2】味噌汁以外の用途も考える

【コツ3】選ぶなら「木製」のものを

【コツ4】迷ったら、最初は「拭き漆」がおすすめ

実際に例を見ながら、詳しく解説していただきました。

【コツ1】装飾が少なく、落ち着いた色のものを選ぶ

さまざまな種類の漆器を並べたところ

「漆器というとハレのイメージも強くありますが、ふだん使いをするなら、できるだけ蒔絵などの装飾が少ないものが食卓になじみやすく、扱いやすいです。蓋付きのものが欲しいという場合も、(上の写真中央にあるような)落ち着いたテイストのものを選ぶといいでしょう」

明るい朱色と暗い朱色の比較

「また、漆器の汁椀は朱色が派手だから……と敬遠される方もいますが、朱色といっても色のトーンはさまざまです。発色のいい朱色(上記写真左)ではなく、落ち着いた朱色(写真右)を選べば食卓になじみやすいので、ぜひ怖がらずに挑戦してみてほしいですね」

【コツ2】味噌汁以外の用途も考える

漆器のボウルにコーンスープを入れたところ 

2つ目は、意外にも「和食以外の用途」を想定するというコツ。

「漆器の汁椀だからといって味噌汁やお吸い物しか入れられない、というわけではありません。ふだんの食卓では和食以外のスープを食べることも多くありますから、それらを入れて使うことも想定すると、毎日使いやすいものが選べます。漆器は手に持っても熱くなく、軽くて使いやすい器。いろいろな用途で活用できるんです」

【コツ3】選ぶなら「木製」のものを

木の器体に漆を塗り重ねた、8段階の漆器の比較 

漆器は木などの「器体」と呼ばれる土台に漆を塗って仕上げた器。器体は木製だけかと思いきや、プラスチックや木の粉をかためた「木乾」など、さまざまな種類があるといいます。

「長く愛用したいなら、器体が木製のものを選びましょう。漆が木目の間にしっかりと染み込んでいるうえ、(上記写真のように)何度も漆を塗り重ねて仕上げられているので、かなり丈夫。一般的な食器とほぼ同じように使え、漆が剥げてきたら修理もできるので長く使えます。対して、プラスチックなどに漆を塗っているものは、漆が器体の内部にまで浸透せず表面に吸着しているだけなので、ちょっと傷がついたりすると割れ目から水が入り、漆がベロっと剥がれてしまうことも」

器体の種類は明記されていないこともあるので、不明な場合はお店の方に聞くといいそうです。

【コツ4】迷ったら、最初は「拭き漆」が使いやすい

拭き漆の汁椀

漆器を買うのが初めてで、どれを選べばいいか想像がつかない……という場合は、「拭き漆」がおすすめ、とはるやまさん。

「拭き漆は、木製の器体に漆を塗って布で拭き取る作業を繰り返し、木目を生かして仕上げた漆器のこと。朱色や黒などで塗り重ねたタイプ(器体の木目が見えないもの)と同様、丈夫さや修理がきくといった漆器の特性を持っています。木の素材感がそのまま生かされていますし、塗り重ねたものに比べると制作工程が少ない分、価格も比較的手頃。初めて漆器を使う方にもハードルが低いのではないでしょうか」

初めての汁椀、買って使ってみました!

漆器の汁椀を手に持っているところ

はるやまさんに教えてもらったコツを生かして、「いつかは欲しい」と思っていた漆器の汁椀を思い切って買ってみました! 選んだ色は黒に近い朱色。形は浅めで高台が高めのタイプ。会津地方に古くからある形のようです。

手に持ったときのやさしい感触、穏やかな光沢は漆器ならでは。1つあるだけで食卓がぐっと整って、格上げされた印象です。普段の手入れも「食洗機と電子レンジはNG」の約束を守るだけ。長く水に浸したりしない限りは変色したり傷んだりすることもなさそうです。

予想外で驚いたのは、使ううちに見た目が変化してきたこと。数週間使っただけでも、手の油がなじんだせいか光沢が増し、買ったときよりも赤みが強く見えるようになりました。漆が薄くなってきたら修理もして、長く使い続けていきたいお気に入りです。

こんな汁椀もおすすめ!

この記事を読んで、漆器の汁椀の購入をお考えになった方のために、日本橋三越本店にてはるやまさんにおすすめの汁椀を3点、セレクトしてもらいました。いずれも素材の質感があるややカジュアルな印象のもので、漆器が初めてという方でも使いやすいはず。ぜひ参考にしてみてください。

<PRODUCT PROJECT>汁椀 振り袖型 天然木(国産欅)摺漆 4,320円(税込)

<PRODUCT PROJECT>汁椀 振り袖型 天然木(国産欅)摺漆

記事内でも紹介した「拭き漆」タイプ。木目が出た素材のナチュラルな質感が食卓になじみやすい。

取扱い:日本橋三越本店

越前塗 赤溜木地呂 欅一文字大椀 10,800円(税込)

越前塗 赤溜木地呂 欅一文字大椀

フチの部分にアクセントがあり、うっすらと木目も見えるのでカジュアルにも使えそうなやや大きめのタイプ。

取扱い:日本橋三越本店

越前塗 汁椀 刷毛根来 天然木 うるし 山岸厚夫作 7,560円(税込)

越前塗 汁椀 刷毛根来 天然木 うるし 山岸厚夫作

鮮やかめの朱色ですが、刷毛の質感があるのでややカジュアルな印象で使いやすいはず。

取扱い:日本橋三越本店

文: FOODIE編集部

写真:岡﨑健二
撮影協力:コハルアン、村上修一(漆器資料提供)、タカハシユキ
※本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです。商品の情報は予告なく改定、変更させていただく場合がございます。

商品の取扱いについて

記事で紹介している商品の一部は、日本橋三越本店本館5階=和食器にてお取扱いがございます。 

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歯ごたえと甘辛さがクセになる!<浅草今半>の佃煮

<浅草今半>牛肉ごぼう(60g)540円(税込)

言わずと知れたすきやきの名店<浅草今半>。その秘伝の割下でごぼうとやわらかい牛肉を炊き上げた「牛肉ごぼう」は、同店の佃煮シリーズの中でも人気の商品です。ごぼうはささがきなのでシャキシャキとした歯ごたえを残しつつもやわらかい食感。ひとたび口に入れると甘辛さがクセになり、白ごはんがすすみます。オムレツやキッシュの具材としても人気が高いそう。料理好きの方は必見です!

※取扱い:伊勢丹新宿店

文: FOODIE編集部

※本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです。商品の情報は予告なく改定、変更させていただく場合がございます。

商品の取扱いについて

記事で紹介している商品は、伊勢丹新宿店本館地下1=粋の座/浅草今半にてお取扱いがございます。 また伊勢丹オンラインストアでもお取扱いがございます。

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母の日に親子で♡ デメルのカーネーションケーキ

デメルのトッフェントルテ
デメルのトッフェントルテ

デメル>トッフェントルテ(直径約12cm)2,700円(税込)

バニラ&苺のクリームを使ったデコレーションでカーネーションを表現した<デメル>の「トッフェントルテ」。中央にデコレーションされた3輪のバラ、ハート型のホワイトチョコレートが目を惹き、ひと目で母の日ギフトに採用の愛らしさです! ドーム型のレアチーズケーキの中には苺のムースが。母の日にかわいい! と盛り上がりながら、親子で一緒に食べたいケーキです。

※取扱い:日本橋三越本店
※販売期間:2018年5月10日(木)〜2018年5月13日(日)

文: 佐藤優香

※本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです。商品の情報は予告なく改定、変更させていただく場合がございます。
※販売期間:2018年5月10日(木)〜2018年5月13日(日)

商品の取扱いについて

記事で紹介している商品は、日本橋三越本店本館地下1階=デメルにてお取扱いがございます。また<デメル>の一部商品は、三越オンラインストアでもお取扱いがございます。 

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ピリ辛がクセになる!老舗料亭が手掛ける近江の名産

<招福楼>赤こんにゃく油煮
<招福楼>赤こんにゃく油煮

<招福楼>赤こんにゃく油煮(150g) 864円(税込)

滋賀に本店をかまえる老舗料亭、<招福楼>。その名店の味が手ごろな価格で味わえるのが「赤こんにゃく油煮」です。「赤こんにゃく」とは近江で古くから食されいている名産品。鉄分できれいな赤色に染められたこんにゃくは、レバー…?マグロ…?と見間違ってしまうかも。醤油と出汁、一味でピリ辛に仕上げられていてクセになる味わい。日本酒やビールとも好相性なので、お酒の肴にどうぞ。

※取扱い:伊勢丹新宿店

文: FOODIE編集部

※本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです。商品の情報は予告なく改定、変更させていただく場合がございます。

商品の取扱いについて

記事で紹介している商品は、伊勢丹新宿店本館地下1=粋の座/招福楼にてお取扱いがございます。 また<招福楼>の一部商品は伊勢丹オンラインストアでもお取扱いしています。

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ふっくら&ピリリ!京都の定番土産といえば…。

<祇園やよい>おじゃこ(紙箱入り)1,080円(税込)

京都に行くと必ずといっていいほど買って帰るのが、こちらのおじゃこ。厳選したちりめんじゃこと兵庫県丹波産のやわらかい実山椒をふっくらと炊き上げています。甘すぎず山椒がピリリときいたお味は白ごはんだけでなく、お酒のおともにもぴったりです。海苔とも好相性なので、おにぎりの具に入れても良し。素材と製法にこだわった老舗ならではの一品が、口にいれるたびに京都へといざなってくれます!

※取扱い:伊勢丹新宿店、日本橋三越本店、伊勢丹オンラインストア

文: FOODIE編集部

※本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです。商品の情報は予告なく改定、変更させていただく場合がございます。

商品の取扱いについて

記事で紹介している商品は、伊勢丹新宿店本館地下1階=粋の座/祇園やよい、日本橋三越本店本館地下1階=祇園やよいにてお取扱いがございます。 また伊勢丹オンラインストアでもお取扱いがございます。

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みずみずしい味わい! ダージリンの春摘み紅茶がお目見え

ナヴァラサのダージリンファーストフラッシュ タルボ農園 スペシャルチャイナDJ-1
ナヴァラサのダージリンファーストフラッシュ タルボ農園 スペシャルチャイナDJ-1

<ナヴァラサ>ダージリンファーストフラッシュ タルボ農園 スペシャルチャイナDJ-1 3,024円〜4,860円(税込)

ダージリンの春摘み茶葉「ファーストフラッシュ」は、紅茶好きが目の色を変える特別な存在。なかでも別格なのが「DJ-1」です。その年、農園で初めて製造されたロットの新茶は、まさにファーストフラッシュのなかのファーストフラッシュ。一芯二葉の茶葉を丁寧に手摘みして仕上げられた、清々しい若葉の香りとみずみずしい味わいは、この茶葉でしか味わえません!

※(写真、左から)<ナヴァラサ>ダージリンファーストフラッシュ タルボ農園 スペシャルチャイナDJ-1 スタンドアルミ(40g)3,024円、小缶(40g)3,348円、大缶(60g)4,860円(すべて税込)

※取扱い:伊勢丹新宿店

文: 斉藤彰子

※本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです。商品の情報は予告なく改定、変更させていただく場合がございます。

商品の取扱いについて

記事で紹介している商品は、伊勢丹新宿店本館地下1階=プラ ド エピスリーにてお取扱いがございます。
また、<ナラヴァサ>の一部商品は伊勢丹オンラインストアでもお取扱いがございます。

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