2015.06.04
日本酒が劇的に美味しくなる!? プロが教える、酒器選びのルール
ここ数年、国内だけでなく海外でも日本酒が人気。若手杜氏が新たに挑戦したお酒も多彩で、若い層をはじめユーザーが増えてきているようです。
でも、「お店で飲む方が美味しい」「なんだかしっくりこない」という、ちょっとした悩みや不満を抱える方も多いはず。そんなときには、酒器に注目してみてください。入れ物を変えるだけで、驚くほどに味の印象が変わるのです。
酒器の扱いに詳しい飲食店日本酒提供者協会・理事の花岡賢さんによれば、酒器選びの基本的なルールは3つ。これらを覚えるだけで酒を好みの味に近づけることができるのだとか。
ルール①:サイズ
おちょこはお好みで、大きめの酒器は素材・形で選ぶ
酒器を選ぶ際、まず最初に見るのはサイズと、花岡さんは説明します。
「小さめのおちょこ・ぐい飲みタイプとそれ以外の酒器の2方向に分けられます。ひと口で飲み干すおちょこは、器による味の違いが少ないので、デザイン重視で選んでOKです」
最近はデザインに富んだおちょこがたくさん出回っていますから、見て楽しい器を選ぶといいでしょう。
「器を愛でることもお酒の愉しみのひとつ。酒器に注ぎつ、注がれつ……という日本ならではの文化も味わってほしいですね」
次に紹介していく2つのルールは、おちょこより大きめの酒器の話。「材質」や「形状」で味の感じ方が変わることに加え、飲みきるのに時間がかかるので、温度変化による味の違いも感じられるといいます。
ルール②:材質
「ガラス」はシャープに、「陶器」は柔らかく感じる
酒器の材質は、手元にある酒を「どう味わいたいか」で選ぶといいと、花岡さん。「この酒にはこの材質を」という決まりはないとのこと。
「日本酒の味を『しっかり』と感じたいときは、ガラスを選びます。味の要素が細部までシャープに感じられるんです。例えば繊細な味わいのお酒を入れて、カルパッチョなどと合わせると見た目にもしっくりきます。逆に、味の濃いお酒を入れると飲み疲れてしまうことも」
また、味を『やわらかく』感じたいときは陶器や磁器を選ぶそう。
「ガラスとは逆で、陶器は味がやわらかく、ぼんやりと感じられます。そのぶん飲み疲れしにくいので、スルメなどをつまみにゆるゆると飲みたいときにいいですね」
はじめからいろいろ買い揃える必要はありません。自宅にあるコップや湯飲みで、同じお酒で飲み比べるだけでも実感できるそう。ぜひ試してみてください。
ルール③:形状
大口径は「濃厚」に、小口径は「スッキリ」と
形状も材質と同様、「どう飲みたいか」で選び方が決まってきます。
「形状を見るときに一番大切なのは、口径です。口が小さいとスッキリと飲め、口が広いと濃厚に感じます。軽い飲み口でたくさん飲みたいときは縦長のものを、少量をじっくり飲みたいときは口が広いものを選ぶといいでしょう」
また、飲んでいる間に酒器を替えても面白いといいます。たとえば、1杯目は「口径が広めの器」で、華やかな香りを楽しむ。2杯目以降は「口径の小さいストレートタイプ」でスッキリ飲むと、飲み飽きせずに楽しめるんだとか。
買うならコレ! 日本酒を美味しくする酒器5選
この記事を読んで、これから新しい酒器の購入をお考えになる方もいるかと思います。そんな方のために、伊勢丹新宿店にて花岡さんにおすすめの酒器を5点、セレクトしてもらいました。花岡さんによる解説も合わせて参考にしてみてください。
1.最初に買うなら、汎用性の高い「フルートグラス」
「味の強い純米酒からフルーティな吟醸酒まで、幅広く使えます。酒の持ち味のいいところを引き出しながら悪い部分は隠してくれるので、最初に試すにはぴったり」
2.形もサイズも絶妙! 新感覚の酒用グラス
「ほどよいくびれ、100cc程度の容量など、すべての面で絶妙ですね。香りが立ちすぎず、いい感じにお酒が飲めるグラス。女性が持ったときに美しく見えるのもポイント」
3.苦手なお酒でもおいしく飲める秘密兵器
「木の酒器はひとつ持っておくと便利です。おみやげなどでもらった日本酒がすごく飲みにくいことって、たまにありますよね? そんなときは木製の器に入れると木の香りがつくので、ぐっと飲みやすくなります」
4.家庭になじみやすい、そばちょこも酒器に
「酔っぱらって手で倒したりしないので安心です(笑) 注ぎ足しやすいのも便利。小さめのものがおすすめです」
5.優雅な気分で飲みたいときは錫!
「錫はイオン効果で美味しくなるとも言われていますが、酸が抑えられ、口当たりのせいかやや甘く感じられるようです」
酒器が生み出す味わいの変化は、きっと想像以上に新鮮な体験! まずはおうちにある器を使って、実験気分でトライしてみてください。
東京・大塚の居酒屋「大塚 はなおか」店主。「飲食店日本酒提供者協会」理事。実店舗の経営のほか、日本酒提供者の基礎検定「SAKEアドバイザー」や、「日本酒提供者マイスター」の資格認定などを行う。
商品の取扱いについて
記事でご紹介している商品(一部を除く)は、伊勢丹新宿店本館5階=キッチン・ダイニング/キッチンダイニングデコール、和食器にてお取り扱いがございます。
伊勢丹オンラインストアでは、<酒器>のお取扱いがございます。詳しくはこちら。
※本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです。商品の情報は予告なく改定、変更させていただく場合がございます。
Ranking
人気記事ランキング