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2018.06.20

乳酸飲料? シャンパン? 低アルコール日本酒、今飲むべき5本を伊勢丹スタイリストが解説!

伴野酒造の澤の花 ボー・ミッシェル、山梨銘醸の七賢 杜の奏、桝田酒造店の満寿泉 Pero純米吟醸、川鶴酒造の讃岐くらうでぃ、美吉野醸造の花巴Nature×Nature

最近なにかと話題の「低アルコール日本酒」とは、いったいどんなお酒なのでしょう? 今回は、「お酒好きなんですが、実は弱くて……、低アルコール日本酒はありがたいです」という、伊勢丹新宿店・粋の座で和酒を担当している中条直人さんに今飲むべき5本を教えてもらいました。具体的な商品に触れる前におさらい。そもそも、低アルコール日本酒って、どんな魅力があるんでしょうか……?

低アルコール日本酒は飲みやすさが魅力

「お酒が弱い人にとって日本酒は強いお酒。低アルコール日本酒はアルコール度数が低いので酔いにくく、とにかく飲みやすいことが魅力です。お酒が弱い人や日本酒を苦手だと思っている人も、一度飲んでみると僕のように日本酒ファンになってしまうはずです」

たとえ日本酒好きでも、平日は深酔いを心配してサワーなどを飲む人が多いといいますが、低アルコールならデイリーなお酒として気楽に選ぶことが可能。低アルコール日本酒とは、日本酒の「入り口」であり、日本酒をより身近に感じられるお酒なのです。

「低アルコール日本酒」に明確な決まりはありませんが、通常の日本酒より低い13度以下のものだと覚えておきましょう。 一般的なお酒のアルコール度数はこちら。

お酒のアルコール度数の目安
ビール、サワー ……約4〜6度
ワイン ……約10〜14度
日本酒 ……約15〜17度
焼酎 ……約25度
ウイスキー ……約40度

「全体的に甘くて飲みやすいお酒が多い印象ですが、食前酒から食中酒、デザート酒向きまで、タイプはさまざま。飲み比べしてみるのも面白いですよ」

今回は数ある低アルコール日本酒のなかから、中条さんが自信を持っておすすめするハイクオリティな日本酒を紹介。普段みなさんが飲んでいるお酒の「アルコール度数」と比べてみてください。

【12度】切れ味バツグン。ペロッと飲める「満寿泉 Pero 純米吟醸」

桝田酒造店の満寿泉 Pero純米吟醸

<桝田酒造店>満寿泉 Pero 純米吟醸(720ml) 1,404円(税込) アルコール度数:12度

1本目に紹介するのは「ペロッ」と軽く飲めることからその名が付いたという「満寿泉 Pero 純米吟醸」。アルコール度数はワインと同じ12度。イラストが描かれたカラフルなラベルも、まるでワインボトルのようです。

「<桝田酒造店>さんはもともとクラシカルな酒造りを大切にしている老舗。近年は新しいチャレンジも行っていますが、伝統蔵とあってさすがにレベルが高い。『満寿泉 Pero 純米吟醸』の特徴は『甘いのに切れがある』こと。ただ甘いだけのお酒だとしつこく感じてしまいますが、独特の酸味があることで、余韻がスパッと切れるのです」

マリアージュは白ワインと合わせる感覚で「魚のムニエル」がおすすめで、ムニエルの後味をこのお酒がすっきり軽やかにしてくれます。ボトルごとテーブルに出して、デイリーな食中酒として楽しんでください。

※取扱い:伊勢丹新宿店、MOO:D MARK by ISETAN ギフト専門サイト

【9度】ビートルズを聴いて育った癒し系「澤の花 ボー・ミッシェル」

伴野酒造の澤の花 ボー・ミッシェル

<伴野酒造>澤の花 ボー・ミッシェル(500ml) 1,080円(税込) アルコール度数:9度

2本目はアルコール度数 9 度の「澤の花 ボー・ミッシェル」。「ビートルズの楽曲を流しながら発酵させたお酒」「人気タレントの誕生日プレゼントに選ばれた」など話題が豊富で、特に女性から人気を集めています。

「『澤の花 ボー・ミッシェル』は精米歩合(※)60%と、高級酒の純米吟醸クラスで、味わいはとにかくソフト。先程の『Pero』が『切れ』のあるタイプならこちらは最後までやさしくて、甘みとうまみがじんわりと『消えていく』イメージ……まさに癒やし系のお酒です。<伴野酒造>さんはもともと、飲み飽きのしないやさしいお酒が得意な実力蔵。話題が先行していますが、このヒット銘柄も実は以前から造られていたのですよ」

映画や音楽鑑賞のお供として、リラックスした状態でじっくりと味わってほしいそうです。また、料理と合わせる場合は「だし巻き玉子」のように、やさしい味のものをチョイスしましょう。

※精米歩合…原料となるお米の外側をどの程度削ったかを示す数値。多く削るほど数値は低く(高精米と)なり、60%以下は「吟醸」、50%以下は「大吟醸」と表記できる。一般的に多く削るほど雑味が減るとされる。

※取扱い:伊勢丹新宿店

【6度】まるで乳酸飲料!? 超低アルコールにごり酒「川鶴 讃岐くらうでぃ」

川鶴酒造の川鶴 讃岐くらうでぃ

<川鶴酒造>川鶴 讃岐くらうでぃ(720ml) 1,296円(税込) アルコール度数:6度

続いてはビールやサワーと同等の「アルコール度数6度」という超・低アルコール酒「川鶴 讃岐くらうでぃ」。「こんな濁り酒があるんだ! と、本当に驚きました」と中条さん。

「<川鶴酒造>さんは『酒造りは米造り』をコンセプトに掲げ、自ら原料のお米を育て、大切に醸している酒蔵です。精米歩合は低精米の70%。さらにろ過をしない濁り酒とあって『辛口』『重い』味を想像していましたが……飲んでみるとまるで乳酸飲料。甘さの中に乳酸の酸っぱさがあり、ご飯を食べたときのようなうまみが広がります。開栓直後は微発泡していて心地いい。バーベキューなどカジュアルなシーンに、みんなでワイワイ楽しみたいですね」

軽いのでそのままスイスイいけちゃいますが、濃いと感じたら氷を入れたジョッキに注いで「ロック」にしてもOK。日本酒のイメージをガラリと変える、まさに「大人の乳酸飲料」です。

※取扱い:伊勢丹新宿店、MOO:D MARK by ISETAN ギフト専門サイト

【11度】お酒好きも驚愕! こだわりすぎた超個性派「花巴 Nature×Nature」

美吉野醸造の花巴Nature×Nature

<美吉野醸造>花巴 Nature×Nature(720ml) 1,944円(税込) アルコール度数:11度 ※数量限定。なくなり次第、終了となります。

4本目は「……言っておきますが、これは好みが分かれます。ただし熱狂的なファンも多い、かなり個性派のお酒です」という「花巴 Nature×Nature」。<美吉野醸造>さんは以前FOODIEでも「ネクストブレイク候補」として特集した注目の蔵で、最大の特徴は室町時代の製法「水酛(みずもと)」。生米と蒸米を水に浸けて乳酸菌を増殖させた水を使うことで、現代の日本酒造りに欠かせない酵母や乳酸を一切添加しない、完全にナチュラルなお酒を造っています。

「『水酛』で有名な<美吉野醸造>さんですが、低アルコール日本酒ではさらに『貴醸酒』(※1)、『山廃』(※2)をミックスしています。順に言うと、まずベースとなるお酒は明治時代の製法『山廃』。ここで仕込み水の代わりにお酒を使うと『貴醸酒』になるのですが、なんと普通のお酒ではなく、より原始的な『水酛』のお酒を用いているのがこの『花巴 Nature×Nature』です。……ものすごい発想ですよね。表現が難しいのですが、このこだわりは他とは一線を画しています!」

個性的なお酒同士で造った超個性派の逸品。甘みとうまみは超濃厚で、その長い余韻のラストは、強烈な乳酸がキュッと締めます。すべてが強烈で一度飲むとクセになる、唯一無二の味わいです。

「アルコール度数は低くても味はパワフルなので、熟成系の味の濃いチーズとマッチします。個人的にはスイーツとの相性が面白いですね。こってりしたチーズケーキや生クリームのスイーツと合わせると最高ですよ」

※取扱い:伊勢丹新宿店

※1 貴醸酒…お酒を発酵させる仕込み水、またはその一部に、お酒を用いて造るお酒。デザートワインのような甘い味わいになる。
※2 山廃…日本酒のもととなる「酒母」造りにおいて、自然界の乳酸菌を取り込む、明治時代に確立された製法。江戸時代の伝統製法「生酛」から「山おろし」という作業を省略したため「山(おろし)廃(止)」という。

【12度】シャンパーニュ? ウイスキー? 日本酒を超えるラグジュアリーな泡「七賢 杜の奏」

山梨銘醸の七賢 杜の奏

<山梨銘醸>七賢 杜の奏(720ml)10,800円(税込) アルコール度数:12度

ラストは、数々のコンペティションで入賞を果たすなど、近年ブレイク中の<山梨銘醸>。紹介するのはなんと1本1万円というプレミアムな日本酒です。

「ジャンルでいうとこれは『スパークリング日本酒』になります。シャンパーニュと同じ伝統的製法、瓶内二次発酵によってできた、細かく美しい泡が特徴。さらに<山梨銘醸>と同じ地域にあるウイスキー蒸留所<サントリー白州蒸留所>のウイスキー樽で仕込んでおり、まるで高級ウイスキーのような風味が加わっています」

日本酒、シャンパーニュ、そしてウイスキーと、異なるお酒の文化をひとつにした新しいお酒。中条さんは一般発売に先駆けて試飲したそうですが、その感想は?

「繊細な泡、スモーキーな樽の香り、口の中で広がる味わい……何も知らずに飲んだら、日本酒とはわからないでしょうね。とにかく美味しかったです!!」 低アルコール日本酒は「ライトユーザー向け」のイメージですが、これはその逆。いろいろなお酒を知り尽くした「ツウ」な人にこそ飲んでほしい、お酒の概念を変える1本です。

※取扱い:伊勢丹新宿店、MOO:D MARK by ISETAN ギフト専門サイト

注目度の高まりとともに、多種多様なタイプが生まれている低アルコール日本酒。日本酒に苦手意識を持っている人も、新しい味わいの日本酒を飲んでみたい日本酒ファンも、気軽に挑戦してみてください。「お酒に対するイメージが、必ず変わりますよ!」(中条さん)

文: 大久保敬太

写真:布川航大

※本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです。商品の情報は予告なく改定、変更させていただく場合がございます。
※未成年の飲酒は、法律で禁止されています。

バイヤー・スタイリスト / 中条直人
粋の座・和酒担当。もともとは日本酒が苦手だったものの、アメリカにあるグループ会社「米国三越」で日本の食文化を発信する業務に携わるうち、日本酒の魅力にはまったそう。今では「しっかりコクのあるお酒」が好みという日本酒党に。

商品の取扱いについて

記事で紹介している商品は、伊勢丹新宿店本館地下1階=粋の座/和酒にてお取扱いがございます。

※本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです。商品の情報は予告なく改定、変更させていただく場合がございます。

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