結んだおみくじ

あけましておめでとうございます。

歳時記を紐解いていると「初物」を大切にして、日本人は生活の中の見慣れたものやこと、振る舞いを新しい眼で再発見してきたことがよくわかります。とくにお正月は「初」のつく言葉が多いですね。

初日の出。初富士。
初詣、初夢、初笑い、初売り、初釜。
書初め、出初め式、仕事始め、歌い始めなど。

厳かな中にも祝祭的な、おめでたい響きがあるこれらの言葉。年越しで文字通り魂が新魂(あらたま)って、ゆっくり故郷に帰るような時間を過ごし、再びピシッと日常に戻っていく。そんな感じがこれらの言葉に表れています。

世の中を ゆり直すらん 日の始め(小林一茶)

猿のイメージ

大晦日から元旦の年の瀬をまたぐ時、大祓えや除夜の鐘で穢(けが)れを祓います。そしてその身を「白」にします。白は「素(しろ)」でもあり、素のまま生(き)のままに戻すことでもあります。ひとつの「リセット術」とも言えそうですね。白は新たに染まるための場所です。

「初」の字形は、真新しい白い布に鋏(はさみ)を入れる形とされます。「初(そ)め」は「染め」でもありますから、白が新たな色に染まる、または白い布に鋏が入って裁断されて新たな形を生んでいく。初は「うぶ」とも読みますね。初心(うぶ)、産湯(うぶゆ)、産土(うぶすな)の「うぶ」です。

ですから、新嘗祭(にいなめさい)の後、お正月事始めから年末にかけて家の大掃除をし、障子を張り替え、お庭の手入れをします。身も心も、暮らしの空間もそうして清められ、境界には山から切り出された松や竹で作った門松や、稲藁(いなわら)で編んだ注連(しめ)飾りを飾ります。松は「祀(まつ)りの木」冬でも緑の生命力や、長寿であることが、聖なる樹とされ、依り代となります。竹もかぐや姫が節と節の間の空間に宿るように、歳神様が宿ることができます。

注連縄は、雌雄の蛇が縒(よ)り合わさり、新しい命を生む形とも言われています。地方ごとに特色あるさまざまな形は、創意が凝らされ「長寿延命」、「子孫繁栄」、「家庭円満」を招きます。脱皮して命の更新をしていく蛇がとぐろを巻いている形や、鶴亀はもちろん、米俵、宝船、盃(さかずき)など、そのバリエーションはとても豊かです。

床の間には鏡餅がお供えされます。豪華なものは「蓬莱飾り」とも呼ばれ、東海の果てにあるとされる仙郷「蓬莱山」までも引き寄せてしまいます。扇やウラジロや橙、海老、ゆずり葉などなど、それぞれ語呂合わせや見立ても楽しいですね。こうした縁起物を供え、飾り、「かみさま」をお迎えする準備が整います。

しめ縄のイメージ

お正月もクリスマスも、実は新嘗祭と同じく「冬至」由来です。古くは洋の東西を問わず、太陽の力のもっとも弱まる日である冬至が1年の終わりであり、始まりでした。前回の記事にも書きましたが、門松とクリスマスツリー、注連飾りとリース、鏡餅とケーキ……、形は違えど意味するところはほとんど同じです。表象としての形、色、素材の違いは風土の違いでしょう。 

新しき 年のはじめに かくしこそ 千歳をかねて 楽しきをつめ (古今和歌集)

光陰矢の如し。時の流れはあまりに早く、忙しさや、自分のことだけに拘って、ふと振り返り、惜しむ時間すらなく過ぎ去ってしまいます。お正月や季節の間にあるお節供は、悪循環に陥ってしまわないように、時をゆっくりとさせて、60兆もの細胞が絶えず生と死を繰り返し、生命を更新している自分の身体や、身の回りの人々や、自然の息遣いに耳を澄ませる祈りの時でもあるのでしょう。

日本語の「かみ」については、いろんな説がありますが、僕は「か(微かな)み(尊いもの)」ではないかと思っています。「かみ」の「訪れ」は「音連れ」であり、その大袈裟でない音は日常の騒音の中では聞き取りにくいものです。「暗」や「闇」に「音」という字が入っているように、見えないものを感じるためにも、私たちは風が凪ぐように、水が澄むように、静かに待つこと、祭る、奉る時が必要なのでしょう。

線香のイメージ

1年という大きな節目に、願いを託されてきたさまざまな形の意味を辿ってみれば、季節ごとの自然のコードに、私たちの暮らしや生を重ね合わせ、過去と未来の接点である今を生きてきた列島の住人たちと想いを合わせることができそうです。さらにはそれがほかの風土から生まれたさまざまな形象との異同を知ることになり、地球上で生きている生命のひとつの種として、経済のことではなく本当の意味で「グローバル」な世界の見方に繋がるのではないかと思います。

申年。「申」の字のごとく伸びやかに、健やかに、寿(ことほ)ぎの2016年でありますように。

花と食で彩る日本の暦〜二十四節気『清明』_4塚田有一(つかだ ゆういち)

ガーデンプランナー/フラワーアーティスト/グリーンディレクター。 1991年立教大学経営学部卒業後、草月流家元アトリエ/株式会社イデーFLOWERS@IDEEを経て独立。作庭から花活け、オフィスのgreeningなど空間編集を手がける。 旧暦や風土に根ざした植物と人の紐帯をたぐるワークショップなどを展開。 「学校園」「緑蔭幻想詩華集」や「めぐり花」など様々なワークショップを開催している。

文: 塚田有一

写真:みやはらたかお

Facebookで、FOODIEをいいね!

Twitterで、FOODIEをフォロー!

Ranking

ランキング

  1. ロングセラーには理由がある! 世代を越えて愛される名スイーツ5選
  2. 半熟も固焼きも完璧!「目玉焼き」を好みの加減に仕上げるシェフのテクニック
  3. バイヤー直伝レシピ! コンソメいらずの絶品ポトフ
  4. 栗好きにはたまらない! 栗がごろっと入った秋限定スイーツ
  5. 「自分買い」するならコレ! 絶品ハロウィンスイーツ6選

秋グルメの最高峰!? トリュフ香る贅沢スープ

カフェプルニエパリのクリームスープ バゲット付
カフェプルニエパリのクリームスープ バゲット付

<カフェ プルニエ パリ>クリームスープ フレッシュトリュフを添えて 3,240 円(税込)

パリ・マドレーヌにあるカフェレストラン<カフェ プルニエ>の日本第一号店が、2018年10月5日(金)に伊勢丹新宿店にオープン! ぜひとも味わいたい季節限定メニューがこのスープ。イタリア産フレッシュ黒トリュフと、フォアグラを贅沢に使った一品です。添えられたエディアールのバゲットに、卵黄を溶かしたスープをたっぷりとしみ込ませれば、さらに美味しさ倍増! スープボウルから立ち上るスライストリュフの香りと、濃厚なフォアグラ、クリームスープが三位一体となって醸し出す、美食体験をぜひ!

※取扱い:伊勢丹新宿店
※販売期間:10月17日(水)~31日(水)

文: 原口りう子

※本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです。商品の情報は予告なく改定、変更させていただく場合がございます。

商品の取扱いについて

記事で紹介している商品は、伊勢丹新宿店本館地下1階=プラ ド エピスリーにてお取扱いがございます。またピエール・エルメ・パリの商品の一部は伊勢丹オンラインストアでもお取扱いがございます。

おすすめアイテム一覧へ

1粒300円超え! 地味だけど唸る美味しさ

ぼうだい本舗の露渋栗
ぼうだい本舗の露渋栗

<ぼうだい本舗>露渋栗(1個入り) 335円(税込)

京都の老舗甘納豆店<ぼうだい本舗>の「露渋栗」は、なんと1粒300円を越える高級和風グラッセ。ちょっとしたケーキほどのお値段ですが食べてみれば納得。口の中に広がる上品な味わいは、熊本県産の和栗本来の甘さ。濃いめのほうじ茶と一緒に食べれば、至福の瞬間が訪れます。素材の味を生かす丁寧な仕事に、食通のあの人も唸るはず。ここぞというときの手土産におすすめです。

※取扱い:伊勢丹新宿店

文: 嘉藤美保子

※本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです。商品の情報は予告なく改定、変更させていただく場合がございます。

商品の取扱いについて

記事で紹介している商品は、伊勢丹新宿店本館地下1階=甘の味/名匠銘菓にてお取扱いがございます。 
また、伊勢丹オンラインストアでもお取扱いがございます。

おすすめアイテム一覧へ

まるでお茶漬け!? だしで食べる和風グラノーラ

久右衛門のだしで食べるグラノーラセット
久右衛門のだしで食べるグラノーラセット

<久右衛門>だしで食べるグラノーラセット(1セット/グラノーラ200g・久右衛門だし×5包)1,685円(税込)

新感覚のグラノーラが<久右衛門>から登場しました。大麦をベースに、大豆、そば、えのき茸、くるみを加え、味噌で焼き上げた国産素材の和風グラノーラ。ここに、だしパック「久右衛門だし」で抽出した相性抜群のだしをかけていただきます。いわし煮干し・かつお節・焼きあご・昆布・椎茸など国産素材だけを贅沢に使用した芳醇なだしと、滋味豊かなグラノーラが混ざり合い、味わいや食感の変化を時間とともに楽しめます。クセになるこの美味しさを、ぜひ一度お試しあれ。

※取扱い:伊勢丹新宿店、伊勢丹オンラインストア
※販売期間:2018年9月19日(水)~10/2(火)

文: 香取里枝

※本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです。商品の情報は予告なく改定、変更させていただく場合がございます。

商品の取扱いについて

記事で紹介している商品は2018年9月19日(水)~10/2(火)の間、伊勢丹新宿店本館地下1階=粋の座/久右衛門にてお取扱いがございます。また、<久右衛門>の一部商品は伊勢丹オンラインストアでもお取扱いがございます。

おすすめアイテム一覧へ

期間限定の甘い幸せ♡ ピエール・エルメの焼きたてヴィノエワズリー

クロワッサン オ ザマンド
クロワッサン オ ザマンド

<ピエール・エルメ・パリ>クロワッサン オ ザマンド (1個/日本製)486円(税込) 

<ピエール・エルメ・パリ>からこの期間、伊勢丹新宿店限定でクロワッサン オ ザマンドがお目見え。クロワッサンの中に、コクのあるくるみと華やかな香りのヘーゼルナッツ風味のアーモンドペーストが入っていて、今まで食べたことのない深みのある味わい! 外はサクサク、中はしっとりした生地の食感も楽しめるところは、さすが“パティスリー界のピカソ”と称される巨匠のヴィノエワズリー。1日2回焼き立てが届けられる、2週間だけのお楽しみです。お見逃しなく!

※取扱い:伊勢丹新宿店
※販売期間:2018年9月19日(水)~ 10月2日(火)、各日平日100点限り、土・日・振替休日各日120点限り
※販売時間:午前10時30分~、午後14時~

文: 松本いく子

※本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです。商品の情報は予告なく改定、変更させていただく場合がございます。

商品の取扱いについて

記事で紹介している商品は、2018年9月19日(水)〜10月2日(火)までの期間中、伊勢丹新宿店本館地下1階=グラン アルチザン/ピエール・エルメ・パリにてお取扱いがございます。<ピエール・エルメ・パリ>の商品は伊勢丹オンラインストアでもお取扱いがございます。

おすすめアイテム一覧へ

優雅なお月見にいかが? <ピエール・エルメ・パリ>のオリジナル月餅(ムーンケーキ)

Assortiment de 4 Mooncakes ムーンケーキ 4個詰合せ
Assortiment de 4 Mooncakes ムーンケーキ 4個詰合せ

<ピエール・エルメ・パリ>Assortiment de 4 Mooncakes ムーンケーキ 4個詰合せ (1箱・要冷蔵/日本製)3,888円(税込)

9月24日は、中国の中秋節。1年でもっとも美しい満月がみられる日として、古くから月餅を食べる習慣があるのだとか。その月餅を、パティスリー界の巨匠、ピエール・エルメが作ったら……。昨年発表して人気を博した「ムーンケーキ」が、今年は伊勢丹新宿店に登場します。風味あふれるローズ入りアーモンドビスキュイ、ライチのパート・ド・フリュイ、フランボワーズの3つが見事に調和する「イスパハン」は、優雅なおいしさにうっとりしてしまいます。ほかに、柚子と抹茶が香る「テベール エ ユズ」、ショコラとプラリネを組み合わせた「プラリネ エ ショコラ」、アーモンドとバニラの香り高い「アンフィニマン ヴァニーユ」の全4種類が1箱に。パリや香港では“お月見”に家族や親しい人と食べる、人気のアイテムなのだとか。満月の夜の手土産にしたら自慢できそう。

※取扱い:伊勢丹新宿店
※販売期間:2018年9月1日(土)~ ※予定数なくなり次第、販売終了

文: 松本いく子

※本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです。商品の情報は予告なく改定、変更させていただく場合がございます。

商品の取扱いについて

記事で紹介している商品は、2018年9月1日(土)〜数量限定で、伊勢丹新宿店本館地下1階=グラン アルチザン/ピエール・エルメ・パリにてお取扱いがございます。<ピエール・エルメ・パリ>の商品は伊勢丹オンラインストアでもお取扱いがございます。

おすすめアイテム一覧へ