2015.09.14
『ザ・日本のおやつ』人気どら焼き8ブランド食べ比べ
定番中の定番和菓子、どら焼き。ちょっとかしこまっていただく上生菓子もいいですが、普段着で気軽に味わえる、親しみやすさナンバー1の和菓子かもしれません。あんこを生地ではさんだシンプルな作りだからこそ、奥深いんです!
今回は三越伊勢丹・菓遊庵のバイヤー大串哲也さんを迎え、WEB FOODIE編集部で食べ比べしてみました。
「THE定番」な王道路線、どら焼き8種がずらり!
和菓子の傾向として、洋菓子風に仕立てた「和洋折衷」が増えていますが、最近は『原点回帰』の風潮が大きくなってきた、と大串さん。今回は「本質を大事にしたい」という大串さんが惚れ込んだどら焼きを8品ピックアップしてもらいました。
「どら焼きを食べ比べるときは、皮、あんこ、そしてその一体感をチェックするといいですよ」とのこと。生地は砂糖、小麦粉、卵を同じ比率で混ぜる「三同割」がベースですが、「ここにどう変化をつけるか」で各社の個性が出てくるようです。並べてみると、確かに生地の焼き色もそれぞれ違っていますね。生地の端も閉じていたり、開いていたりとさまざまです。
では、編集部員K、S、Mが加わり、いよいよ実食です!
ふんわり、もっちり。どら焼きの皮に表われる個性
どら焼きの見た目の印象を決めるのが、一番外側にある皮。厚みや焼き色によって、表情に違いが出ます。
大串さん「まず、皮が閉じているものと、開いているものとがありますよね。閉じているものは、焼いたあとに餃子のように手でくっつけているんです。①の御笠山さんは、『閉じているのがどら焼きだ』というこだわりをもって作っているんですよ」
編集部M「本当だ〜。ぴったり閉じてて、開かない!」
編集部S「横からあんこが見えてて、『皮は挟んでいるだけ』というものもあるし、そこもお店によって違うんですね」
大串さん「もう一つ注目してほしいのが、『霜柱』です。生地の断面を見たとき、霜柱のように縦に細かい筋がたくさん入っているのがわかりますか? これは生地を焼くときに空気がすっと抜けていった跡。ここに気付いてもらえると、お店はすごく喜んでくれるんです」
編集部K「美しいですね〜。繊細な、日本の美って感じがします」
大串さん「あとは、持った瞬間で違いがわかりますよね。③の中尾清月堂さんはふかふかでしょう。職人さんが1枚ずつ手焼きしているので、絶妙な焼き加減が調整できるからなんです」
編集部K「確かに、一番弾力がある感じがしますね。手に持った感じがもう、ふわふわ! 食べるとほどよくしっとり感もあって、こんなどら焼きははじめてです」
編集部S「②の銀座甘楽も口に含むと、ホロホロしていてやわらかい〜」
大串さん「⑥の天平庵さんは卵にこだわりがあって、食べたときに卵の風味がふわっとして、カステラみたいですね。⑧の一力総本店さんは半熟感のある生地なので焼きたてはふんわりしていますが、時間が経つとしっとり感が増して、変化が楽しめますよ」
ふわふわ、もちもち、しっとり。皮の個性もさまざまなんですね。
和菓子屋の真髄がうかがえる、あんこの妙
和菓子の真髄といわれるほど、大事な役割を担っているあんこ。どら焼きでは、生地とのマッチングを計算しながら、各社がこだわり抜いて仕上げています。
大串さん「小豆は、どこも原料にこだわって国産のものを使っています。品種や炊き方に、各社の個性が出てくるという感じでしょうか」
編集部S「③の中尾清月堂さんは、あんこがすごくやわらかくて、粒も立ってますね。水分の多いあんこが、ふかふかの生地とマッチしてます」
編集部K「③は栗入りのあんこなんですね。大きめの栗が入ってると『当たった!』感があってうれしくなります(笑)」。
大串さん「④の俵屋吉富さんは普段、上菓子に力を入れている京菓子屋さん。そこが作るどら焼きですから、やはりすごく上品ですよね」
編集部K「うん、見た目の様子も品があって、味もすごく繊細。手土産にも喜ばれそうだね」
編集部S「⑤の丹坊さんは甘すぎなくて、小豆の風味がしっかり活きてます。粒あんに適した品種にこだわっているっていうのに納得です」
編集部M「⑥の天平庵さんも粒あんの風味が素晴らしいです! 北海道十勝産の小豆で、生産者も限定しているこだわりぶりはすごいですよね。みずみずしいあんこに惹かれます」
皮×あんこのバランスにも注目!
全体のバランスを左右する要素の1つが、「糖度」だと大串さん。皮とあんこ、それぞれの糖度の比率も、各ブランドによって異なります。①④⑥⑦はあんこより生地を甘めにして、バランスを調整。③⑧はほぼ同等の糖度で、それぞれの個性を演出しています。
大串さん「皮のほうがあんこより糖度が高いと、あんこが水分を放出して自らも糖度を上げようとするので、皮がしっとりするんです。①の御笠山さんはザラメ糖を使っているので、後味がスッキリした甘さに。計算されていますね」
編集部M「うん、確かにすごく軽い食べ心地ですね。このまま何個でもいけちゃいそう(笑)」
大串さん「さらにバランスを左右するのが、食べたときの皮とあんこの関係。ぴったり、みっちりと両者がフィットしてるものから、ふわふわの生地をあんこが受けるものなど、食べ比べてみると違いがよくわかりますね。小さく割って食べるのと、がぶっと食べるのとでも、印象が変わりますよ」
編集部M「本当ですか?(実際にガブッと食べる)。わ〜、確かに! すごい! やわらかめの生地とほどよいかたさのあんこの一体感。噛んで行くと、それぞれの味が混ざりあって、絶妙なハーモニーです〜。これはみんなもやったほうがいい」
編集部K「え? そんなに違う?……(ガブッ)。!!! 何これ、全然違う!! かぶりついたほうが断然おいしいですね」
大串さん「でしょう。生地とあんこの一体感を楽しむという意味では、パクッといくのがおすすめですよ」
醤油が隠し味? 意外な材料の役割とは
最後に、各社の材料に注目。みんなで原材料表をにらみながら、使われている材料や特徴をチェックします。どら焼きの材料はシンプルだからこそ、ちょっとした違いが大きな差になるのだそう。
大串さん「たとえば同じ砂糖でも、ザラメ糖を使えば後味がスッキリに、上白糖だとしっかりと甘さが感じられるあんこになります」
編集部S「へぇ、そんなに変わるんですね。ザラメ糖を使っているのは、①の御笠山さんと、⑧の一力総本店さんですね。確かに①は甘さがすっきりしている気がします」
編集部K「⑧一力総本店さんは醤油が入っているんだ! だから香ばしくって、しっとり感もあったのかな。みたらし団子みたいな、昔懐かしい雰囲気と絶妙な香ばしさを感じました」
大串さん「醤油は生地に入っています。皮の色が濃いのは、醤油の影響も」
編集部M「普段は1種類しか食べないけど、こうして比べてみるとそれぞれの個性が際立ちますね」
大串さん「シンプルな中に、各社のこだわりが詰まっていますから。職人の技で生み出されている絶妙なバランス、それぞれの個性を感じてほしいですね。それが、定番和菓子の魅力ですよ。どら焼きはまさに国民的おやつですから、お手土産にして、みなさんで食べ比べたら楽しいんじゃないでしょうか」
いかがでしたか? これまでなんとなく食べてきたどら焼きにも、それぞれ個性があるんだなぁと、思わず目を見張ってしまいました。ご家族や友人と一緒に「どら焼き食べ比べ」なんて、意外と盛り上がりそうですね。
今回食べ比べた商品について
①<御笠山>御笠山 270円(税込) あんこの重量が多いながらも、甘さ控えめなのでスッキリいただける。
②<銀座甘楽>どら焼 186円(税込)口溶けの良さにこだわった生地は、しっとりとやわらか。バニラアイスを添えて食べても美味。
③<中尾清月堂>清月 201円(税込)職人が一枚ずつ手焼きした生地に、みずみずしいあんこをサンド。
④<俵屋吉富>名月 三笠 195円(税込)皮となじむよう調整した、どら焼き専用のあんこを使用。
⑤<丹坊>粒餡 極 231円(税込)福島県のメーカーで、甘納豆職人がつくるあんこに注目。軽やかな食べくち。
⑥<天平庵>こだわりみかさ 大和三山 195円(税込)卵の風味とふんわり生地で、餡は上品でさっぱり。
⑦<菓子舗 榮太楼>どらやき 181円(税込)はちみつを入れた秘伝の配合により、しっとりと甘いどら焼きに。
⑧<一力総本店>一力じまん 162円(税込)醤油をブレンドしており、香ばしく絶妙な甘さにハマる。
商品の取扱いについて
この記事でご紹介している商品は、9月16日(水)~22日(
数量に限りがある商品もございますので、
■すべての商品のお取扱いがある店舗
三越日本橋本店・三越銀座店・伊勢丹立川店・伊勢丹松戸店・
■一部の商品のお取扱いがある店舗:( )内にお取扱いがある商品を記載
伊勢丹新宿本店(①②)・三越恵比寿店(①②③⑥⑦)・
※本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです。商品の情報は予告なく改定、変更させていただく場合がございます。
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