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2015.08.23

幻想的な鵜飼のスペクタクル、知られざる味、鵜鮎(うあゆ)の話

幻想的な鵜飼のスペクタクル、知られざる味、鵜鮎(うあゆ)の話_1

ペリカン目ウ科の鳥、鵜(う)を使って魚を捕る、鵜飼(うかい)と呼ばれる漁法。縄でつながれた鳥たちが水に潜り、くちばしで魚を捕えて戻ってくる様子をテレビなどで目にしたことがある人も多いかと思います。鵜飼の様子を観光で見ることはあっても、鵜が捕っている魚がなにかご存知ですか? それは鮎。そして、その鮎は「鵜鮎(うあゆ)」と呼ばれる特別な存在なのです。

長良川地方の夏の風物詩。そして宮内庁直轄の御料場

やはり有名なのは岐阜県岐阜市の長良川で行われる長良川鵜飼と、同県関市の小瀬鵜飼。毎年5月11日から10月15日まで行われます。伝統装束を身にまとった「鵜匠」が、かがり火を灯した鵜舟にて掛け声とともに船べりを叩き、鵜を操り鮎を捕ります。この長良川鵜飼と小瀬鵜飼は、宮内庁が管轄する御料場であり、年8回の特別な「御料鵜飼」で、捕られた鮎はすべて皇族の方々が食されるのです。そのため、この地の鵜匠は、「宮内庁式部職鵜匠」と呼ばれる格式をもち、親から子へ代々世襲で受け継がれてきました。

幻想的な鵜飼のスペクタクル、知られざる味、鵜鮎(うあゆ)の話_2

希少な鵜鮎の魅力は、鮮度の良さによる香り!

鵜飼で捕られた鮎は、鵜鮎(うあゆ)と呼ばれ、その希少さのみでなく「美味」として食通からも人気を博しています。その秘密は、鵜がくちばしで捕らえると同時に鮎を瞬間的に〆るため、傷みが少なく鮮度も保たれ、身のしまったおいしい鮎となる点。この時の、くちばしの跡がついていることが鵜鮎の証拠でもあります。鮎は香魚と呼ばれるほど香りがよいのですが、状態の良い鮎は、スイカのようなさわやかな香りを楽しめるのだそう。

幻想的な鵜飼のスペクタクル、知られざる味、鵜鮎(うあゆ)の話_3

その希少な鵜鮎、実は現地の限られた料亭などで食することが可能です。

長良川にある旅館「鵜匠の家 すぎ山」はそのひとつ。常務取締役の杉山寛典さんによれば、鮎はシーズンの中でも、収穫時期によって大きく3つに分けられるといいます。

「5月〜6月中旬までは、香りはそれほどではありませんが、身が小さく、骨もやわらかいため、頭から丸ごと食べられます」

もともと長良川の鮎は小ぶりですが、シーズンの初旬は、さらに小ぶりで食べやすいそう。そして、もっとも鮎の魅力を味わえるのは6月中旬から9月上旬。

「成魚として、食感、味、香りともに最高の状態の鮎をぜひお楽しみください。それ以降、10月中旬までの終いの時期に食べるのであれば、メスがオススメです。子持ちになるので、卵のプチプチとした食感を楽しむことができますよ」

オススメの食べ方は、やはり鮎そのものを存分に味わえる塩焼きとのこと。そのほか、「すぎ山」では地元の酒を使った秘伝の調味液に漬け一晩干した、鮎の一夜干しも人気。地酒の「花美蔵」との相性も抜群だそうです。ちなみに「鵜匠の家 すぎ山」で鵜鮎をいただく場合は、事前の予約をお忘れなく。宮内庁式部職鵜匠による絶品の鵜鮎、一度は味わいたいものですね。

■鵜匠の家 すぎ山
岐阜県岐阜市長良73-1
電話058-231-0161

文: 石川博也

写真:岐阜県

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