幅允孝のよく噛んで読みましょう #1 ミシマ社「コーヒーと一冊」01

時に味わい深く、時に人生の栄養となるのは一皿のおいしい料理も、一冊の素敵な本も同じなのかもしれません。ブックディレクターの幅允孝さんがそんな「よく噛んで」読みたい、おいしい本たちを紹介してくれました。丁寧に入れたコーヒーと一緒にどうぞ。

まずは、読みづらくかっこよいロシア人たちの「名前」の本

「コーヒーと一冊」という出版レーベルができた。これは、コーヒー1杯をゆっくり飲みながら、ゆるゆると読了するに丁度よい100ページほどの本のシリーズのことだ。確かに「時間がなくて本が読めない」とお嘆きの方は多いようだが、そんな人でもランチタイム2、3回分あれば読み切れる分量なのがありがたい。

第1弾の3タイトルは、じつに個性豊かなラインナップになっている。まず僕の目を疑ったのが『声に出して読みづらいロシア人』という松樟太郎の本。そんなコンセプトで本をつくっていいのか? と思ったのだが「コーヒーと一冊」では、全然オーケイ。彼らは自由なのだ。

幅允孝のよく噛んで読みましょう #1 ミシマ社「コーヒーと一冊」02

これは、「名前の響きが怪しげである」かどうかという基準のみで選ばれたロシアの政治家や芸術家、軍人、宇宙飛行士などの人物名鑑なのだが、ひたすら「役に立たない面白さ」を追求する姿勢には感服する。

見開きひとりのペースで紹介されるヘンテコで読みにくい名前のロシア人の来歴に思わずくすり。もちろん正確な歴史を踏まえてのエッセイなのだが、著者の松のツッコミは冴えまくっている。ベレゾフスキーとホドルコフスキーは、「敵っぽい名前」。「名前の長ったらしさ界の真打ち」は作家のサルトゥイコフ・シチェドリン。松の選ぶ最も格好いい名前はアレクサンドル・イサーエヴィッチ・ソルジェニーツィン。確かになんだか凛々しい気がしてきたぞ。

ゆるっと楽しいひとり飯が魅力的になる一冊

続いて紹介するのは『佐藤ジュンコのひとり飯な日々』。仙台在住のイラストレーター ジュンコさんはひとり飯歴18年。そんな彼女が綴る日々の食をゆるいタッチの漫画にしたのがこの一冊だ。仙台といえば、牛タン、笹かま、ずんだ餅をまず思い浮かべる人が多いはず。

けれど、この本では彼女の日常に根付いたささやかで温かいお店をいくつか紹介してくれる。喫茶ホルンのチキンレバーカレーもおいしそうだが、ふじやの冷やし中華も捨て難い。そして、彼女はいつだってビール党! 増えてゆく脂肪に悩みながらも、ベランダでちびりちびりとやる1杯の至福に勝るものはないという。ひとり飯というタイトルとは裏腹に、この本の読後にさみしい感じは微塵もない。いろんな人に囲まれて過ごす仙台の気持ちよい風が、読み手にも伝わってくるようだ。

幅允孝のよく噛んで読みましょう #1 ミシマ社「コーヒーと一冊」03

詳しくなくても入り込んでしまう将棋のノンフィクション

最後に紹介するのが北野新太の「透明の棋士」。僕は将棋に関しては素人なのだが、なぜか一気に読んでしまった高密度のノンフィクションだ。著者の北野も僕と同じように2005年まで将棋に興味を持ったことがなかった。だが、新聞で偶然見つけたひとつの記事が、北野を思いもよらない場所へ誘ったのだ。記事の主人公、瀬川晶司はかつて棋士を目指して夢破れた男。そんな彼が、アマチュアとして再起し、棋士になるための編入試験を受けるというのだ。試験の内容はプロと6番勝負して3勝すれば合格というもの。その瀬川にどうしても会いたいと北野は強く思い、彼の取材を重ねることで将棋の世界に入り込んでいったのだ。

「将棋以上に魂の震える対象はない」と語る北野の描く将棋の世界は、人と人の精神の削り合い。羽生善治も渡辺明もみんなぎりぎりの境界線上で戦う男たちだ。一方で、棋士は「美しい心を持った人々の集団」ともいえてしまうから、説明が難しい。ものすごく冷静でシビアな世界なのに、ちゃんとそこには熱もロマンもある。不思議なアンビバレンスを持つ世界をあなたにものぞいてみてほしい。

ちなみにこの「コーヒーと一冊」レーベルをはじめたのは、自由が丘の小さな総合出版社ミシマ社。数々のユニークな試みを出版界に投げかける彼らだが、このシリーズは買い切りという取引形態をとることで、本屋さんに通常より多くの利益が落ちる仕組みとしているそうだ。

ゆるりとした出で立ちで、なかなかに骨太な「コーヒーと一冊」。今後もどんどん継続して出版してゆくようなので、是非とも注目してみてください。熱くて濃いコーヒーに合うと思いますよ。

幅允孝のよく噛んで読みましょう #1 ミシマ社「コーヒーと一冊」_04

幅允孝(はば・よしたか)
ブックディレクター。BACH(バッハ)代表。人と本がもうすこし上手く出会えるよう、さまざまな場所で本の提案をしている。

文: 幅允孝

写真/山下 亮一

※本記事内でご紹介しているアイテムは、三越伊勢丹でのお取扱いはございません。

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秋グルメの最高峰!? トリュフ香る贅沢スープ

カフェプルニエパリのクリームスープ バゲット付
カフェプルニエパリのクリームスープ バゲット付

<カフェ プルニエ パリ>クリームスープ フレッシュトリュフを添えて 3,240 円(税込)

パリ・マドレーヌにあるカフェレストラン<カフェ プルニエ>の日本第一号店が、2018年10月5日(金)に伊勢丹新宿店にオープン! ぜひとも味わいたい季節限定メニューがこのスープ。イタリア産フレッシュ黒トリュフと、フォアグラを贅沢に使った一品です。添えられたエディアールのバゲットに、卵黄を溶かしたスープをたっぷりとしみ込ませれば、さらに美味しさ倍増! スープボウルから立ち上るスライストリュフの香りと、濃厚なフォアグラ、クリームスープが三位一体となって醸し出す、美食体験をぜひ!

※取扱い:伊勢丹新宿店
※販売期間:10月17日(水)~31日(水)

文: 原口りう子

※本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです。商品の情報は予告なく改定、変更させていただく場合がございます。

商品の取扱いについて

記事で紹介している商品は、伊勢丹新宿店本館地下1階=プラ ド エピスリーにてお取扱いがございます。またピエール・エルメ・パリの商品の一部は伊勢丹オンラインストアでもお取扱いがございます。

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1粒300円超え! 地味だけど唸る美味しさ

ぼうだい本舗の露渋栗
ぼうだい本舗の露渋栗

<ぼうだい本舗>露渋栗(1個入り) 335円(税込)

京都の老舗甘納豆店<ぼうだい本舗>の「露渋栗」は、なんと1粒300円を越える高級和風グラッセ。ちょっとしたケーキほどのお値段ですが食べてみれば納得。口の中に広がる上品な味わいは、熊本県産の和栗本来の甘さ。濃いめのほうじ茶と一緒に食べれば、至福の瞬間が訪れます。素材の味を生かす丁寧な仕事に、食通のあの人も唸るはず。ここぞというときの手土産におすすめです。

※取扱い:伊勢丹新宿店

文: 嘉藤美保子

※本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです。商品の情報は予告なく改定、変更させていただく場合がございます。

商品の取扱いについて

記事で紹介している商品は、伊勢丹新宿店本館地下1階=甘の味/名匠銘菓にてお取扱いがございます。 
また、伊勢丹オンラインストアでもお取扱いがございます。

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まるでお茶漬け!? だしで食べる和風グラノーラ

久右衛門のだしで食べるグラノーラセット
久右衛門のだしで食べるグラノーラセット

<久右衛門>だしで食べるグラノーラセット(1セット/グラノーラ200g・久右衛門だし×5包)1,685円(税込)

新感覚のグラノーラが<久右衛門>から登場しました。大麦をベースに、大豆、そば、えのき茸、くるみを加え、味噌で焼き上げた国産素材の和風グラノーラ。ここに、だしパック「久右衛門だし」で抽出した相性抜群のだしをかけていただきます。いわし煮干し・かつお節・焼きあご・昆布・椎茸など国産素材だけを贅沢に使用した芳醇なだしと、滋味豊かなグラノーラが混ざり合い、味わいや食感の変化を時間とともに楽しめます。クセになるこの美味しさを、ぜひ一度お試しあれ。

※取扱い:伊勢丹新宿店、伊勢丹オンラインストア
※販売期間:2018年9月19日(水)~10/2(火)

文: 香取里枝

※本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです。商品の情報は予告なく改定、変更させていただく場合がございます。

商品の取扱いについて

記事で紹介している商品は2018年9月19日(水)~10/2(火)の間、伊勢丹新宿店本館地下1階=粋の座/久右衛門にてお取扱いがございます。また、<久右衛門>の一部商品は伊勢丹オンラインストアでもお取扱いがございます。

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期間限定の甘い幸せ♡ ピエール・エルメの焼きたてヴィノエワズリー

クロワッサン オ ザマンド
クロワッサン オ ザマンド

<ピエール・エルメ・パリ>クロワッサン オ ザマンド (1個/日本製)486円(税込) 

<ピエール・エルメ・パリ>からこの期間、伊勢丹新宿店限定でクロワッサン オ ザマンドがお目見え。クロワッサンの中に、コクのあるくるみと華やかな香りのヘーゼルナッツ風味のアーモンドペーストが入っていて、今まで食べたことのない深みのある味わい! 外はサクサク、中はしっとりした生地の食感も楽しめるところは、さすが“パティスリー界のピカソ”と称される巨匠のヴィノエワズリー。1日2回焼き立てが届けられる、2週間だけのお楽しみです。お見逃しなく!

※取扱い:伊勢丹新宿店
※販売期間:2018年9月19日(水)~ 10月2日(火)、各日平日100点限り、土・日・振替休日各日120点限り
※販売時間:午前10時30分~、午後14時~

文: 松本いく子

※本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです。商品の情報は予告なく改定、変更させていただく場合がございます。

商品の取扱いについて

記事で紹介している商品は、2018年9月19日(水)〜10月2日(火)までの期間中、伊勢丹新宿店本館地下1階=グラン アルチザン/ピエール・エルメ・パリにてお取扱いがございます。<ピエール・エルメ・パリ>の商品は伊勢丹オンラインストアでもお取扱いがございます。

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優雅なお月見にいかが? <ピエール・エルメ・パリ>のオリジナル月餅(ムーンケーキ)

Assortiment de 4 Mooncakes ムーンケーキ 4個詰合せ
Assortiment de 4 Mooncakes ムーンケーキ 4個詰合せ

<ピエール・エルメ・パリ>Assortiment de 4 Mooncakes ムーンケーキ 4個詰合せ (1箱・要冷蔵/日本製)3,888円(税込)

9月24日は、中国の中秋節。1年でもっとも美しい満月がみられる日として、古くから月餅を食べる習慣があるのだとか。その月餅を、パティスリー界の巨匠、ピエール・エルメが作ったら……。昨年発表して人気を博した「ムーンケーキ」が、今年は伊勢丹新宿店に登場します。風味あふれるローズ入りアーモンドビスキュイ、ライチのパート・ド・フリュイ、フランボワーズの3つが見事に調和する「イスパハン」は、優雅なおいしさにうっとりしてしまいます。ほかに、柚子と抹茶が香る「テベール エ ユズ」、ショコラとプラリネを組み合わせた「プラリネ エ ショコラ」、アーモンドとバニラの香り高い「アンフィニマン ヴァニーユ」の全4種類が1箱に。パリや香港では“お月見”に家族や親しい人と食べる、人気のアイテムなのだとか。満月の夜の手土産にしたら自慢できそう。

※取扱い:伊勢丹新宿店
※販売期間:2018年9月1日(土)~ ※予定数なくなり次第、販売終了

文: 松本いく子

※本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです。商品の情報は予告なく改定、変更させていただく場合がございます。

商品の取扱いについて

記事で紹介している商品は、2018年9月1日(土)〜数量限定で、伊勢丹新宿店本館地下1階=グラン アルチザン/ピエール・エルメ・パリにてお取扱いがございます。<ピエール・エルメ・パリ>の商品は伊勢丹オンラインストアでもお取扱いがございます。

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