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2015.05.25

読み物・コラム

石川県に伝わる、幻の珍味。「ふぐの子糠漬け」を食べてみた

北陸新幹線の開通で盛り上がる石川県、その一部地域に受け継がれている奇跡の逸品「ふぐの子糠漬け」をご存知でしょうか。 ふぐといえば、美食家をうならせる高級魚のひとつ。石川の食文化をこよなく愛した魯山人もまた、ふぐ好きとして知られています。そのふぐに対する愛は、

 

「ふぐの美味(うま)さというものは実に断然たるものだ――と、私はいい切る。これを他に比せんとしても、これに優る何物をも発見し得ないからだ。」(「河豚は毒魚か」より)

と語っているとおり。さらに同文章内では、「卵巣と肝臓、腸」を食べなければ無毒なのだから、毒を恐れずにもっと食べるべきだとすらアピールしています。 美食の巨人、魯山人も知らなかった「卵巣」の美味をいただけるのが、「ふぐの子糠漬け」なんです。

食への執着が生んだ、奇跡の逸品

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ふぐの卵巣にはテトロドトキシンという猛毒が含まれており、人の健康を損なうおそれがある部位として規制されています。「ふぐの子糠漬け」は、この卵巣を3年ほどかけて塩漬けとぬか漬けにし、毒を抜いて食べるという郷土料理のひとつ。毒のかたまりが極上の珍味に変身するのですから、なんとも不思議な食べ物です。 先人がどうやってこの方法を見つけたかは定かではありませんが、どうやら発酵中に微生物が毒を分解すると考えられているよう。ただし、解毒のメカニズムが科学的に解明されていないため、伝統的な製法が頑なに守られています。

発酵食品の深い深いうまみがあとを引く!

そのままスライスしてお酒やごはんのおともにするのが一般的な食べ方。塩分が強いので、レモン汁や酢をかけたり、大根おろしを添えられることが多いようです。 においが結構きつそう……と恐る恐る口に運んでみると、生臭みはなくまろやか! タラコのような魚卵特有のプチプチした食感にチーズのような濃厚さ、発酵食品ならではの奥深いコクがあって、もう1枚、さらに1枚とあとを引くおいしさです。

ちょっと熱が入ると、一層まろやかに

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次は、熱々の出汁をかけてお茶漬けに。熱が入ったまろやかさはまた新たなおいしさです。濃厚なうまみが出汁に染み出て、満足感のある一杯に。

その塩気とうまみは、パスタでも存在感を発揮

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和食以外なら手軽なパスタがおすすめです。身をほぐしてスパゲティに和えるだけ。うまみが濃厚なタラコパスタといった印象に加え、ほどよい塩気とうまみはアンチョビのような存在感です。レモン汁を絞ってもおいしそう。

猛毒を持つふぐの子は、まさに珍味中の珍味。珍味=クセが強くて、日常的には食べ続けられないイメージがありますが、「ふぐの子糠漬け」はごはんにもよく合い、冷蔵庫に常備したい安心感があるところがまた、不思議な魅力です。 先人の勇気と未知なる味への情熱に敬意を評しながら、ぜひ一度味わってみてはいかがでしょうか。

文: 佐々木智恵美

写真: 八田政玄

※「ふぐの子糠漬け」は、石川県ふぐ加工協会加盟の製造者が、石川県ふぐの処理等の規制に関する条例に従い加工した郷土食です。製品には石川県ふぐ加工協会の「検査済之証」のシールが貼られています。
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