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2019.01.20

読み物・コラム

天才ショコラティエは、なぜワイン造りをはじめたのか?

パトリック・ロジェ。ショコラ好きなら、その名を耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。パリ発のチョコレートの祭典「サロン・デュ・ショコラ」の常連でもあり、数々の輝かしい受賞歴を誇る世界的なショコラティエのひとりです。

ショコラティエとして最高の栄誉であるMOF(フランス国家最優秀職人章)を2000年に受賞。彫刻作品を手がけるアーティストとしての顔も持つ「天才」の呼び声も高い存在です。現在フランスに8店、ベルギーに1店を構え、多忙を極めるロジェ氏。そのロジェ氏が、なんとワイン造りにも取り組んでいるというのです。なぜ天才ショコラティエが突然ワインを?その背景には、なんともロジェ氏らしいエピソードが秘められていました。

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さびれたブドウ畑との、思いがけない出会い

ぶどう畑イメージ

ぶどう畑を手入れするのは、ロジェ氏がショコラに使用する「アーモンド」を育てる農家の方々

すべてのはじまりは、ロジェ氏が手に入れた35ヘクタールもの広大なアーモンド畑。ピレネー山脈の麓に位置するこの畑の一画に、わずか2.6ヘクタールばかりのぶどう畑が含まれていました。植えられていたのは、樹齢20年ほどを越えたシラー品種のぶどうの木。スパイシーでパワフルな風味を持ち味に、赤ワイン造りに使用されることの多い品種です。

ただ、このぶどう畑はすでにさびれてしまっていました。畑を取得した本来の目的を考えれば、撤去してしまうのもやむなしという状況かもしれません。でもロジェ氏にとって、そのぶどうの木を引き抜くことなどは論外でした。もともと環境問題への関心が高く、アーモンド畑を持つことで農民とともにこの分野を支えたいとも考えていたロジェ氏。

自分が惚れ込んだ土壌に育つぶどうは、自身が手がけるショコラと同じように、きっと人を感動させられるワインになる、と信じたのです。そこで、この小さな畑に二度目の命を与えるために、地元醸造家に協力を依頼。豊かな情熱を注ぎ、みごと再生することに成功しました。

さまざまな熟成方法への自由なトライアル

アンフォラ熟成イメージ

アンフォラによる熟成

そうして誕生したのが、2016年にファーストヴィンテージを迎えた<ドメーヌ パトリック・ロジェ>。手がけるのはもちろん、シラー100%の赤ワインです。ごく小さな畑のため、2016年に生産できたワインは、3種でわずか1万本。でも、この世界に1万本しかないワインには、ロジェ氏のあふれんばかりのセンスと想いが詰まっています。

そのこだわりがあらわれているひとつのポイントが、熟成方法。2016年に世に出た3種のワインでは、それぞれ熟成方法が異なるという徹底ぶりです。たとえば「ランストン 瞬間」では、なんと“アンフォラ”を使用しています。“アンフォラ”とは、古代ギリシャ・ローマ時代に、ワインやオリーブオイルなどの保存や運搬に使用していた素焼きの甕のこと。

ステンレスタンクや樽で熟成することの多い今日では、珍しい手法と言えます。自然に近い状態でじっくりと熟成させるため、時間も手間もかかるアンフォラ熟成。既成概念にとらわれず、ぶどうが持つさまざまな可能性にアプローチしたいというロジェ氏の想いが伝わってきます。

完成したふたつの味わい「瞬間」「考えられない」

なみなみならぬこだわりから生まれた<ドメーヌ パトリック・ロジェ>のワイン。その魅力にたっぷりと触れられる、個性豊かな2本をご紹介しましょう。

<ドメーヌ パトリック・ロジェ>ランストン、ランデサンス

右:<ドメーヌ パトリック・ロジェ>ランストン 瞬間(フランス製/赤/750ml)13,500円(税込) 左:<ドメーヌ パトリック・ロジェ>ランデサンス 考えられない(フランス製/赤/750ml)11,340円(税込) ※販売期間:いずれも2019年1月23日(水)から ※36点限り

「ランストン 瞬間」(右)

古代のワイン造りから着想を得てつくられた1本。フランスやイタリア産のアンフォラを使用し、毎日のバトナージュ(澱の旨みをワインに戻すために、熟成中に攪拌すること)を手で行うなど、昔ながらの手法で仕立てています。ロジェ氏によれば、口に含んだ瞬間の印象は「イチゴを煮たときのようなフルーツ感」。

コンフィチュールに例えるあたり、なんともショコラティエらしいコメントです。香りは、ショコラやスパイスを思わせるようなトーン。余韻の中に感じる溶け込むようにまろやかなタンニンも、どこかショコラに通じるものがあります。ショコラティエがつくるワインならではの味わいを、心ゆくまで愉しんでください。

※取扱い:伊勢丹新宿店

「ランデサンス 考えられない」(左)

「ぜひ、5年は寝かせて」とロジェ氏が語る、熟成型の1本。カカオやアーモンドなどの素材と真剣に向き合うように、ぶどうのさまざまなポテンシャルを引き出すために木樽熟成にチャレンジしたワインです。口に含むと感じるのは、木樽ならではのユーカリや木々、植物の豊かな香り。よりまろやかに口の中に広がるタンニンで、ゆっくりと長く愉しめます。

デカンタージュしてから、18度で楽しむのがおすすめの飲み方なのだそう。実はこの1本を手がけるまでは、木樽熟成のワインがあまり得意ではなかったというロジェ氏。でも、素材に新しい命を吹き込むという自身の哲学をもとにアプローチしたことで、本人も大満足のワインが生まれました。

※取扱い:伊勢丹新宿店

ショコラティエとしての名声に甘んじず、あくなき挑戦を続けるパトリック・ロジェ。ショコラ好きはもちろん、ワイン通にもぜひ味わってもらいたい特別な一品です。

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文:FOODIE編集部
※未成年の飲酒は、法律で禁止されています。

商品の取扱いについて

記事で紹介している商品は、伊勢丹新宿店本館地下1階=グランド カーヴにてお取扱いがございます。

※本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです。商品の情報は予告なく改定、変更させていただく場合がございます。