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2015.05.16

伝統農法「焼畑」育ち。余呉の「山かぶ」は強く、たくましく、滋味豊か

伝統農法「焼畑」育ち。余呉の「山かぶ」は強く、たくましく、滋味豊か_1

日本では、稲作がはじまる以前から行われていたという、農業の原点「焼畑」農法。社会科の授業で耳にしたことはあるけれど……という方は多いと思います。

国内では昭和中期まで各地で行われていましたが、いまや数少ない農家に受け継がれるのみ。すっかり影を潜めてしまったこの旧来の農法を、あえて蘇らせた地域があります。

伝統農法「焼畑」で、地域に活力を

滋賀県は長浜市余呉町(よごちょう)。同県の最北端に位置し、周囲のほとんどが山岳地帯となっている、近畿地方屈指の豪雪地帯です。

余呉町では、昭和40年代まで、山の斜面を利用した焼畑農業が盛んに行われていました。伐採した木材は炭焼に使い、山かぶや雑穀などが栽培され、豊かな里山が残っていたそうです。

ところがやはりこの地でも、高度経済成長以後の農業の近代化や防災上の理由などから、焼畑は少しずつ途絶えることに。そんななか、この伝統農法を蘇らせることでかつての活力を取り戻したいと、地元農家の永井邦太郎氏と大学の研究者たちが協力し、2007年に焼畑を復活させました。現在では余呉町の企業<ロハス余呉>も焼畑の取り組みに協力しています。

伝統農法「焼畑」育ち。余呉の「山かぶ」は強く、たくましく、滋味豊か_2

この新しい焼畑は、夏、利用されていないスキー場の斜面を使って実施。8月初旬に伐採し、8月中旬〜下旬には茶色く枯れた山の斜面の上のほうから順番に火を入れていくのだそう。

火が一度に燃え広がらないように、上から下に向かって少しずつ燃やしていきます。火によって土壌は消毒され、病害虫の発生が抑えられ、灰が肥料となることで、畑としての準備が整うのだそうです。

みなぎる「山かぶ」の生命力

この焼畑で採用している作物は、かつての余呉の焼畑でも多く栽培されていた、斜面での栽培に強い「山かぶ」。火入れ後すぐに種をまき、何もせず自然にまかせます。草が生えようが、天候が悪かろうが、そのなかでも育つ強さが山かぶにはあるのです。

その証拠として、余呉町の斜面で育った山かぶは通常の平地に育つものより葉が小さいそう。なぜならば、山という土壌でしっかり根を張り収穫まで耐えるだけの栄養を、「葉」ではなく「かぶ」そのものに蓄えて成長するから。10月下旬の収穫時期までには、握り拳ぐらいのサイズにまで生長しているそう。

こうやって山の豊かな地力で育った山かぶは、甘さと辛みがあり、味と香りが強く、赤々としています。そして、余呉の焼畑で育てたものにしかない滋味があるのです。

滋味豊かな「山かぶドレッシング」

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<ロハス余呉>伝統農法の焼畑そだち 山かぶドレッシング(150g/1本)810円 ■フレッシュマーケット

そんな滋味豊かな山かぶをペーストにして仕上げたドレッシングが<ロハス余呉>の「伝統農法の焼畑そだち 山かぶドレッシング」。キレイな赤は、山かぶの色をそのまま生かしたもの。新鮮なサラダにかければ、視覚をも楽しませてくれそう。

またノンオイルなので、寿司酢やマリネ液など、使い道はいろいろ。焼畑の実力を、自らの舌で体感してみたいものですね。

 

文: 林香津美

※「FOODIE」2015年5月号掲載の再編集記事です。

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