端午の節句の「ちまき」。山形県鶴岡市の変わり種「笹巻き」もどうぞ_01

端午の節句といえば、鯉のぼり、かぶと、柏餅……そして「ちまき」。古来より伝わり、特に西日本に多く残るちまき文化だといいますが、東北は山形県鶴岡市にも。ユネスコの食文化創造都市にも選ばれた、地域の個性を強く残したこの土地には、少し変わった「ちまき」文化があるようです。

「山形食べる通信」編集長の松本典子さんが独自の考察も一緒に、おいしい風習を教えてくれました。

古代中国から渡来した、ちまき文化と、鶴岡に伝わる独特の笹巻き

端午の節句、5月5日の食べ物といえば「ちまき」と「柏餅」。柏餅が作られるようになったのは近世からと新しいのに対し、ちまきの起源は古く、中国の伝説によると、紀元前288年に楚の国の王族・屈原(くつげん)の霊を弔うため、陰暦の5月5日に笹の葉で包んだ米の飯を川に投げ入れたと言われています。日本の文献で最も古いのは平安時代に編纂された『倭名類聚鈔』。「和名知萬木」の項目に、もち米を植物の葉で包み、灰汁で煮込んだものを5月5日に食すという記述が残されています。

IMG_4798

『日本の食生活全集』という本には日本各地の「ちまき」の名称が57種類も記載され、素材や形、製法は多少異なれど、ちまきが全国的に親しまれていることがわかります。

山形では、もち米を笹の葉で包んでお湯で煮たちまきが「笹巻き」と呼ばれ、端午の節句には県内全域で食されています。ところが、私の暮らす鶴岡市の「笹巻き」は、他地域のものとは見た目も味もまったくの別物。笹をひらくと中身が黄色く、プルンとしたゼリー状をしています。

地域によって、さまざまな形をした、手仕事が生み出すアート

この特別な味わいの秘密は「灰汁(あく)」の利用にあります。灰のアルカリ性分には、植物の繊維を柔らかく膨張させ、水溶性のあく成分(エグみや渋味)を細胞外に出す働きがあります。笹巻きの場合、木の灰を溶かした水の上澄みにもち米を一晩浸けるのですが、こうすることでお米に黄色い色がつき、水で煮るとプルプルに。さらに灰汁の持つ殺菌力や防腐効果によって長期保存が可能になるため、戦国武将や山伏の携行食として重宝されたそうです。

IMG_4767

この「灰汁を使った笹巻き」は鶴岡市内全域で作られているのですが、その形はさまざまです。テトラパックのような「こぶし巻き」、おにぎりの形の「三角巻き」、たけのこ状の「つの巻き」。私は「こぶし巻き」に挑戦したことがありますが、笹の葉2枚とヒモで中身が漏れないように隙間なく包み、引けば一度でほどけるように結ぶという、高度な手仕事なのだと気づかされました。ちなみに、近年は少なくなりましたが、特別なお祝いの時には笹の葉を30枚以上重ねた「大きなたけのこ巻き」というものも作られます。若い伝承者が現れ、こうした美しい伝統を受け継いでくれることを願います。

灰汁を使った製法はどこから来たのか。笹巻きの起源をさぐる

ところで、なぜ鶴岡周辺にだけ「灰汁を使った黄色い笹巻き」があるのでしょうか。これには、いくつかの説が挙げられています。

1) 西郷隆盛が伝えた?

鹿児島にも同じ製法の「あく巻き」が存在します。庄内藩は戊辰戦争に敗れた際、西郷隆盛の取りなしによりお家取り潰しを免れました。そのため西郷氏は庄内地方で慕われており、鹿児島市とは姉妹都市になっています。ですが、戊辰戦争より80年も前の文献に「灰汁でちまきを煮る」という記述があるため、残念ながらこの説は違っているようです。

2) 北前船が持ってきた?

鹿児島の「あく巻き」が北前船によってもたらされたという説です。この可能性は確かにありますが、北前船の寄港地である酒田の周辺は、あくを使わない「白い笹巻き」の家ばかり。酒田港から鶴岡までの約20kmの間に伝来の痕跡が無いことは、ちょっと不思議です。

3) 個人的仮説。もしかして幕府伝来?

戦国時代に食べると大勝した秘伝の「朝比奈ちまき」というものが存在したと言われています。徳川家康がその存在を知り、家臣に命じて献上させたことから、2大献上ちまきの1つとして全国的に有名になったと文献にも記されています。このちまきは残念ながら一度途絶えてしまったのですが、朝比奈家に伝わる古文書によると、ツバキの木を燃やして灰を作り、その灰汁にもち米を一晩浸して吸収させ蒸したとのこと。鶴岡の笹巻きと、まさに同じ製法です。庄内藩を治めていた酒井家は「徳川四天王」のひとつに数えられるほど幕府と親密な関係にありました。合戦の縁起物とされていた「朝比奈ちまき」の製法を特別に教えてもらったとすれば、武家の多い城下町・鶴岡で広まり、他の地域には伝わらなかったことにも説明がつきます。

最後の説については検証が必要ですが、少し気になりませんか? 端午の節句は古来より家康をはじめとする武将たちも、武功を祈願して灰汁を使ったちまきを食べていたようです。無病息災と立身出世を願いつつ、さあ、おいしく召し上がれ!

端午の節句の「ちまき」。山形県鶴岡市の変わり種「笹巻き」もどうぞ_04

笹の葉から取り出したら黒みつを絡め、黄緑色の「青きな粉」をまぶしていただきます。

文: 松本典子(山形食べる通信編集長)

写真:本間聡美

Facebookで、FOODIEをいいね!

Twitterで、FOODIEをフォロー!

Ranking

ランキング

  1. ロングセラーには理由がある! 世代を越えて愛される名スイーツ5選
  2. 半熟も固焼きも完璧!「目玉焼き」を好みの加減に仕上げるシェフのテクニック
  3. バイヤー直伝レシピ! コンソメいらずの絶品ポトフ
  4. 夢のコラボ! フロマジュリー・ヒサダ×モロゾフのプレミアムなチーズケーキ
  5. 「自分買い」するならコレ! 絶品ハロウィンスイーツ6選

秋グルメの最高峰!? トリュフ香る贅沢スープ

カフェプルニエパリのクリームスープ バゲット付
カフェプルニエパリのクリームスープ バゲット付

<カフェ プルニエ パリ>クリームスープ フレッシュトリュフを添えて 3,240 円(税込)

パリ・マドレーヌにあるカフェレストラン<カフェ プルニエ>の日本第一号店が、2018年10月5日(金)に伊勢丹新宿店にオープン! ぜひとも味わいたい季節限定メニューがこのスープ。イタリア産フレッシュ黒トリュフと、フォアグラを贅沢に使った一品です。添えられたエディアールのバゲットに、卵黄を溶かしたスープをたっぷりとしみ込ませれば、さらに美味しさ倍増! スープボウルから立ち上るスライストリュフの香りと、濃厚なフォアグラ、クリームスープが三位一体となって醸し出す、美食体験をぜひ!

※取扱い:伊勢丹新宿店
※販売期間:10月17日(水)~31日(水)

文: 原口りう子

※本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです。商品の情報は予告なく改定、変更させていただく場合がございます。

商品の取扱いについて

記事で紹介している商品は、伊勢丹新宿店本館地下1階=プラ ド エピスリーにてお取扱いがございます。またピエール・エルメ・パリの商品の一部は伊勢丹オンラインストアでもお取扱いがございます。

おすすめアイテム一覧へ

1粒300円超え! 地味だけど唸る美味しさ

ぼうだい本舗の露渋栗
ぼうだい本舗の露渋栗

<ぼうだい本舗>露渋栗(1個入り) 335円(税込)

京都の老舗甘納豆店<ぼうだい本舗>の「露渋栗」は、なんと1粒300円を越える高級和風グラッセ。ちょっとしたケーキほどのお値段ですが食べてみれば納得。口の中に広がる上品な味わいは、熊本県産の和栗本来の甘さ。濃いめのほうじ茶と一緒に食べれば、至福の瞬間が訪れます。素材の味を生かす丁寧な仕事に、食通のあの人も唸るはず。ここぞというときの手土産におすすめです。

※取扱い:伊勢丹新宿店

文: 嘉藤美保子

※本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです。商品の情報は予告なく改定、変更させていただく場合がございます。

商品の取扱いについて

記事で紹介している商品は、伊勢丹新宿店本館地下1階=甘の味/名匠銘菓にてお取扱いがございます。 
また、伊勢丹オンラインストアでもお取扱いがございます。

おすすめアイテム一覧へ

まるでお茶漬け!? だしで食べる和風グラノーラ

久右衛門のだしで食べるグラノーラセット
久右衛門のだしで食べるグラノーラセット

<久右衛門>だしで食べるグラノーラセット(1セット/グラノーラ200g・久右衛門だし×5包)1,685円(税込)

新感覚のグラノーラが<久右衛門>から登場しました。大麦をベースに、大豆、そば、えのき茸、くるみを加え、味噌で焼き上げた国産素材の和風グラノーラ。ここに、だしパック「久右衛門だし」で抽出した相性抜群のだしをかけていただきます。いわし煮干し・かつお節・焼きあご・昆布・椎茸など国産素材だけを贅沢に使用した芳醇なだしと、滋味豊かなグラノーラが混ざり合い、味わいや食感の変化を時間とともに楽しめます。クセになるこの美味しさを、ぜひ一度お試しあれ。

※取扱い:伊勢丹新宿店、伊勢丹オンラインストア
※販売期間:2018年9月19日(水)~10/2(火)

文: 香取里枝

※本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです。商品の情報は予告なく改定、変更させていただく場合がございます。

商品の取扱いについて

記事で紹介している商品は2018年9月19日(水)~10/2(火)の間、伊勢丹新宿店本館地下1階=粋の座/久右衛門にてお取扱いがございます。また、<久右衛門>の一部商品は伊勢丹オンラインストアでもお取扱いがございます。

おすすめアイテム一覧へ

期間限定の甘い幸せ♡ ピエール・エルメの焼きたてヴィノエワズリー

クロワッサン オ ザマンド
クロワッサン オ ザマンド

<ピエール・エルメ・パリ>クロワッサン オ ザマンド (1個/日本製)486円(税込) 

<ピエール・エルメ・パリ>からこの期間、伊勢丹新宿店限定でクロワッサン オ ザマンドがお目見え。クロワッサンの中に、コクのあるくるみと華やかな香りのヘーゼルナッツ風味のアーモンドペーストが入っていて、今まで食べたことのない深みのある味わい! 外はサクサク、中はしっとりした生地の食感も楽しめるところは、さすが“パティスリー界のピカソ”と称される巨匠のヴィノエワズリー。1日2回焼き立てが届けられる、2週間だけのお楽しみです。お見逃しなく!

※取扱い:伊勢丹新宿店
※販売期間:2018年9月19日(水)~ 10月2日(火)、各日平日100点限り、土・日・振替休日各日120点限り
※販売時間:午前10時30分~、午後14時~

文: 松本いく子

※本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです。商品の情報は予告なく改定、変更させていただく場合がございます。

商品の取扱いについて

記事で紹介している商品は、2018年9月19日(水)〜10月2日(火)までの期間中、伊勢丹新宿店本館地下1階=グラン アルチザン/ピエール・エルメ・パリにてお取扱いがございます。<ピエール・エルメ・パリ>の商品は伊勢丹オンラインストアでもお取扱いがございます。

おすすめアイテム一覧へ

優雅なお月見にいかが? <ピエール・エルメ・パリ>のオリジナル月餅(ムーンケーキ)

Assortiment de 4 Mooncakes ムーンケーキ 4個詰合せ
Assortiment de 4 Mooncakes ムーンケーキ 4個詰合せ

<ピエール・エルメ・パリ>Assortiment de 4 Mooncakes ムーンケーキ 4個詰合せ (1箱・要冷蔵/日本製)3,888円(税込)

9月24日は、中国の中秋節。1年でもっとも美しい満月がみられる日として、古くから月餅を食べる習慣があるのだとか。その月餅を、パティスリー界の巨匠、ピエール・エルメが作ったら……。昨年発表して人気を博した「ムーンケーキ」が、今年は伊勢丹新宿店に登場します。風味あふれるローズ入りアーモンドビスキュイ、ライチのパート・ド・フリュイ、フランボワーズの3つが見事に調和する「イスパハン」は、優雅なおいしさにうっとりしてしまいます。ほかに、柚子と抹茶が香る「テベール エ ユズ」、ショコラとプラリネを組み合わせた「プラリネ エ ショコラ」、アーモンドとバニラの香り高い「アンフィニマン ヴァニーユ」の全4種類が1箱に。パリや香港では“お月見”に家族や親しい人と食べる、人気のアイテムなのだとか。満月の夜の手土産にしたら自慢できそう。

※取扱い:伊勢丹新宿店
※販売期間:2018年9月1日(土)~ ※予定数なくなり次第、販売終了

文: 松本いく子

※本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです。商品の情報は予告なく改定、変更させていただく場合がございます。

商品の取扱いについて

記事で紹介している商品は、2018年9月1日(土)〜数量限定で、伊勢丹新宿店本館地下1階=グラン アルチザン/ピエール・エルメ・パリにてお取扱いがございます。<ピエール・エルメ・パリ>の商品は伊勢丹オンラインストアでもお取扱いがございます。

おすすめアイテム一覧へ