花と食で彩る日本の暦〜二十四節気『立夏』_1

夏の立つがゆへ也(暦便覧)

「山笑う」から「山滴る」へ。

北国ではまだ山が「笑い」はじめたばかりでしょう。「山笑う」とは何とも素敵な言いようで、山野へちょっとでかけると、あちこちから生まれたばかりの草木虫魚の歌や笑い声が聞こえてきそうです。正岡子規もこんな歌を詠んでいます。

「故郷やどちらを見ても山笑ふ」 正岡子規

でも、暦の上ではゴールデンウィークが明ければ「立夏」となり、夏の気配や香りが発ちはじめる時。 「山笑う」は春の季語で、もともとは郭煕(かくき)という北宋の山水画家の画論「臥遊録」の「春山淡冶(たんや)にして笑うが如く 夏山蒼翠(そうすい)にして滴るが如く、秋山明浄にして粧うが如く 冬山惨淡として眠るが如し」から来ているそうです。晩春から初夏にかけては、天候もやや荒れますが、それもようやく落ち着いて青葉若葉が広がり、さわさわと音を立てる。更新したばかりの常緑樹の新緑が陽光を拡散させる爽やかな季節が訪れます。立夏から立秋までが「夏」ですから、5月は「山滴る」の季節へ生命がいよいよ横溢(おういつ)して行くときなのです。

目に青葉の季節、生命の色躍る歌枕

花と食で彩る日本の暦〜二十四節気『立夏』_2

ハクセキレイ(ハシタタキ)尻尾を振り水辺を走る姿は市街地でも観察できる

「眼には青葉 山ほととぎす 初鰹」 山口素堂

江戸時代に歌われたこの季節の旬のもの。

この句に少し分け入ってみましょう。きらきらしい青葉の季節、薫る風が揺らす若葉の息吹が、眼や身体を満たしていきます。

「ほととぎす」といえば“テッペンカケタカ”と鳴く鳥ですが、漢字では「子規」「時鳥」「不如帰」「杜鵑」などと書かれます。初夏、日本の山を染め上げる山躑躅(やまつつじ)の一種も「杜鵑花(とけんか)」の名を持ちます。『蜀王本紀』に望帝杜宇(ぼうていとう)の逸話があり、祖国を離れた王が、死んだ後も滅びた祖国に戻ろうと、ほととぎすに化身し血を吐くまで啼き続けたというもので、それは躑躅(つつじ)の色でもありました。「杜鵑」「不如帰」などはその物語に因んだ名ですね。冒頭にあげた正岡子規は、結核で血を吐いたことから「子規」を名乗ったそうです。

山躑躅が咲く頃、ほととぎすは囀(さえず)りの季節で、赤い山躑躅とセットでイメージされます。その鳴き声は農作業をはじめる合図でもありましたから「時鳥」とも書かれるのです。いずれにしましても、この季節の山を象徴する「ほととぎす」から、故事や躑躅へと連想は繋がっていきます。

更に、まさに旬の魚である初鰹。初物は今でも高値が付けられますが、江戸時代は特に、走りものにはヤセガマンしてでも飛びつくのが「粋」だったようです。初鰹は黒潮に乗って南の海から北上してきますから、この句にはそんなダイナミックな地球の営みや四季のめぐり、生命の不思議さも歌われているのでしょう。色彩的にも鰹の銀青とでもいいましょうか、新緑の緑や躑躅の赤に加わっていますね。

意気地や、負けず嫌い、恋心や、無常観などと一緒に、きらめく瞬間を圧縮した俳句や和歌。解凍すれば、瞬く間に香りたち、緑が滴りはじめます。生きている風土のことやそこで育まれてきた五感が、今を生きる僕たちそれぞれに受け継がれているのだと思えます。

花と食で彩る日本の暦〜二十四節気『立夏』_3

五月五日の「端午の節供(せちく)」のこともすこしお話ししておいた方がよさそうです。旧暦の五月、つまり新暦の六月頃に祝うのが本来なのではありますが、僕は折角なのでお節供については新暦/旧暦の二回楽しんでもいいのではないかと思っています。

「端午の節供(子どもの節供、菖蒲の節供とも)」といえばまず思い出すのは「五月人形」でしょうか?「鯉のぼり」、「柏餅」、「菖蒲湯」なども思いつきますね。

何年か前、東京郊外でお米を作っている友人宅を尋ねたことがありましたが、その時に土地のおじさんに「軒菖蒲」のことを聞いた所、田んぼの一角に群生している菖蒲を抜き、あぜ道の蓬(よもぎ)を合わせて束ね、薄(すすき)の葉でくるくると結わえてくれました。手慣れた手つきでぱっぱと葉を取り束ねた、それだけのものなのですが、何やらずっしりしていたものです。それは「軒菖蒲」と呼ばれたもので、端午の節供を迎えるに当たって僻邪(へきじゃ)として茅葺き屋根に挿したものです。

菖蒲も蓬もご存知の通り香りが高いもの。昔話の「くわず女房」はそれらの草をどうして端午の節供に屋根に挿すのか、謂れを語る物語でもあります。

5月は苗を植える時期と重なり、五月女(さおとめ)となる女性は物忌みの印に屋根に菖蒲を葺いた「女の家」にお籠りをしました。今でも菖蒲湯に入るのは、こうした禊に古いかたちがあるように思います。「女の家」は「お別火」とも呼ばれました。古くは囲炉裏の火、竃の火が「家」そのものを現していましたから、お籠りをする男子禁制の「女の家」は、厳粛ながらも女たちが日常から離れ、別の時間を過ごせる時だったとも言われています。籠りをして禊を終えた女性はその頃咲いている躑躅などを髪挿して山を下りてきたといいます。そしてその頃には各地で「水口祭り」などが行われるのでしょう。

菖蒲湯の他に、菖蒲葛(しょうぶかずら)、菖蒲打ち、菖蒲酒なども行われ、宮中では薬玉が振る舞われたと言われています。いずれも菖蒲の薬効、香りの高さに肖ろうというものです。

また、菖蒲は葉が刀に似ています。「しょうぶ」が「尚武」に通じますし、他にも鹿の占(うけい)狩り、ベーロン、騎射などもともと武張った風習が多かったため、端午の節供は「男の子の節供」として定着して行ったと思われます。

同じ頃咲くアヤメの仲間は、よく菖蒲と混同されますが、菖蒲は「サトイモ科」、文目、杜若、鳶尾(いちはつ)、著莪(しゃが)などの「アヤメ科」とは異なります。アヤメの仲間も葉が刀のかたちですし、蕾は鉾に、花は兜に似ています。いろいろとややこしいのですが、菖蒲湯に使う香り高い葉はサトイモ科です。

風薫る五月、もうひとつの節気は草木満ちる小満

花と食で彩る日本の暦〜二十四節気『立夏』_4

風薫る五月。清風が樹々を渡り、緑は萌えたちます。まるで風が緑の炎を焚き付けているようです。そんな風を受けて鯉幟(こいのぼり)は空を泳ぎ、矢車はカラカラ廻り、五色の吹き流しは翻ります。5月2つ目の24節気は「小満」で、

「万物盈満すれば草木枝葉繁る」(暦便覧)

とされ、陽気がよくなって、草木などの生物が次第に成長して生い茂るという意味です。

「鯉幟」とは、大空高く「登ることを乞う」ものとも取れます。「登竜門」の故事にちなんだ飾りですが、五月の風を大きく吸い込み、風をはらんで枝葉がどんどん繁るように、憧れいずる旅心を表してくれてもいるようですね。波しぶきをあげて、激流をさかのぼった先には、天翔る龍が見えてきそうです。五月の溢れ出る緑の山河に潜れば、発揮揚々、身が新しくなることでしょう。

花と食で彩る日本の暦〜二十四節気『清明』_4塚田有一(つかだ ゆういち)

ガーデンプランナー/フラワーアーティスト/グリーンディレクター。 1991年立教大学経営学部卒業後、草月流家元アトリエ/株式会社イデーFLOWERS@IDEEを経て独立。作庭から花活け、オフィスのgreeningなど空間編集を手がける。 旧暦や風土に根ざした植物と人の紐帯をたぐるワークショップなどを展開。 「学校園」「緑蔭幻想詩華集」や「めぐり花」など様々なワークショップを開催している。

文: 塚田有一

写真:みやはらたかお

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まるでお茶漬け!? だしで食べる和風グラノーラ

久右衛門のだしで食べるグラノーラセット
久右衛門のだしで食べるグラノーラセット

<久右衛門>だしで食べるグラノーラセット(1セット/グラノーラ200g・久右衛門だし×5包)1,685円(税込)

新感覚のグラノーラが<久右衛門>から登場しました。大麦をベースに、大豆、そば、えのき茸、くるみを加え、味噌で焼き上げた国産素材の和風グラノーラ。ここに、だしパック「久右衛門だし」で抽出した相性抜群のだしをかけていただきます。いわし煮干し・かつお節・焼きあご・昆布・椎茸など国産素材だけを贅沢に使用した芳醇なだしと、滋味豊かなグラノーラが混ざり合い、味わいや食感の変化を時間とともに楽しめます。クセになるこの美味しさを、ぜひ一度お試しあれ。

※取扱い:伊勢丹新宿店、伊勢丹オンラインストア
※販売期間:2018年9月19日(水)~10/2(火)

文: 香取里枝

※本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです。商品の情報は予告なく改定、変更させていただく場合がございます。

商品の取扱いについて

記事で紹介している商品は2018年9月19日(水)~10/2(火)の間、伊勢丹新宿店本館地下1階=粋の座/久右衛門にてお取扱いがございます。また、<久右衛門>の一部商品は伊勢丹オンラインストアでもお取扱いがございます。

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期間限定の甘い幸せ♡ ピエール・エルメの焼きたてヴィノエワズリー

クロワッサン オ ザマンド
クロワッサン オ ザマンド

<ピエール・エルメ・パリ>クロワッサン オ ザマンド (1個/日本製)486円(税込) 

<ピエール・エルメ・パリ>からこの期間、伊勢丹新宿店限定でクロワッサン オ ザマンドがお目見え。クロワッサンの中に、コクのあるくるみと華やかな香りのヘーゼルナッツ風味のアーモンドペーストが入っていて、今まで食べたことのない深みのある味わい! 外はサクサク、中はしっとりした生地の食感も楽しめるところは、さすが“パティスリー界のピカソ”と称される巨匠のヴィノエワズリー。1日2回焼き立てが届けられる、2週間だけのお楽しみです。お見逃しなく!

※取扱い:伊勢丹新宿店
※販売期間:2018年9月19日(水)~ 10月2日(火)、各日平日100点限り、土・日・振替休日各日120点限り
※販売時間:午前10時30分~、午後14時~

文: 松本いく子

※本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです。商品の情報は予告なく改定、変更させていただく場合がございます。

商品の取扱いについて

記事で紹介している商品は、2018年9月19日(水)〜10月2日(火)までの期間中、伊勢丹新宿店本館地下1階=グラン アルチザン/ピエール・エルメ・パリにてお取扱いがございます。<ピエール・エルメ・パリ>の商品は伊勢丹オンラインストアでもお取扱いがございます。

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優雅なお月見にいかが? <ピエール・エルメ・パリ>のオリジナル月餅(ムーンケーキ)

Assortiment de 4 Mooncakes ムーンケーキ 4個詰合せ
Assortiment de 4 Mooncakes ムーンケーキ 4個詰合せ

<ピエール・エルメ・パリ>Assortiment de 4 Mooncakes ムーンケーキ 4個詰合せ (1箱・要冷蔵/日本製)3,888円(税込)

9月24日は、中国の中秋節。1年でもっとも美しい満月がみられる日として、古くから月餅を食べる習慣があるのだとか。その月餅を、パティスリー界の巨匠、ピエール・エルメが作ったら……。昨年発表して人気を博した「ムーンケーキ」が、今年は伊勢丹新宿店に登場します。風味あふれるローズ入りアーモンドビスキュイ、ライチのパート・ド・フリュイ、フランボワーズの3つが見事に調和する「イスパハン」は、優雅なおいしさにうっとりしてしまいます。ほかに、柚子と抹茶が香る「テベール エ ユズ」、ショコラとプラリネを組み合わせた「プラリネ エ ショコラ」、アーモンドとバニラの香り高い「アンフィニマン ヴァニーユ」の全4種類が1箱に。パリや香港では“お月見”に家族や親しい人と食べる、人気のアイテムなのだとか。満月の夜の手土産にしたら自慢できそう。

※取扱い:伊勢丹新宿店
※販売期間:2018年9月1日(土)~ ※予定数なくなり次第、販売終了

文: 松本いく子

※本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです。商品の情報は予告なく改定、変更させていただく場合がございます。

商品の取扱いについて

記事で紹介している商品は、2018年9月1日(土)〜数量限定で、伊勢丹新宿店本館地下1階=グラン アルチザン/ピエール・エルメ・パリにてお取扱いがございます。<ピエール・エルメ・パリ>の商品は伊勢丹オンラインストアでもお取扱いがございます。

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海苔のかわりにトマトを巻く!?新感覚のカラフルロール寿司

有職の三色の巻き寿司
有職の三色の巻き寿司

〈有職〉三色の巻き寿司(1折)1,944円

ころんとかわいい三色の巻き寿司。巻かれているのは海苔……かと思いきやなんと野菜のシートなのです! 原材料100%でできているという驚きのこのシート、赤はトマト、緑はほうれん草、薄いオレンジ色は玉ねぎからできているのだそう。シートの力強い野菜の味にフレッシュな具を合わせた味わいは新感覚でクセになりそう。見た目に楽しい、食べてびっくりの巻き寿司は集いの場でも活躍してくれるはず! 手土産に持っていけば話題の的になること間違いなしです。

※取扱い:伊勢丹新宿店
※販売期間:2018年9月19日(水)~10月2日(火)

文: FOODIE編集部

※本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです。商品の情報は予告なく改定、変更させていただく場合がございます。

商品の取扱いについて

記事で紹介している商品は、伊勢丹新宿店本館地下1階=旨の膳/有識にてお取扱いがございます。

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ふわふわのお肉!? 熟成松阪牛ヒレ肉の衝撃

松阪牛専門 麻布日進の三重県産松阪牛 ヒレ肉
松阪牛専門 麻布日進の三重県産松阪牛 ヒレ肉

<松阪牛専門 麻布日進>三重県産松阪牛 ヒレ肉(100g) 6,480円(税込)

焼き肉で「ふわふわ」な食感は未知の領域でした。が、満を持しての「ふわっふわ」です。熟成松阪牛の「ヒレ肉」、100gあたり、なな、なんと6,480円。松阪牛の美味しさを追及する<松阪牛専門 麻布日進>が施すエージングによって、松阪牛のうまみが十二分に引き出されました。そのやわらかな食感は、まさにふわふわ。クセがなくあっさりとした味わいなのに、濃厚なうまみ! 週1ペースで不定期入荷のため、遭遇できた人はぜひ。

取扱い:伊勢丹新宿店
※週1ペースで不定期入荷

文: 斉藤彰子

※本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです。商品の情報は予告なく改定、変更させていただく場合がございます。

商品の取扱いについて

記事で紹介している商品は、伊勢丹新宿店本館地下1階=フレッシュマーケット/松阪牛専門 麻布日進にてお取扱いがございます。
また、伊勢丹オンラインストアでは松坂牛専門 麻布日進の一部商品をお取扱いしています。

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