2015.05.13
全ドイツ国民が夢中! 春に必ず食べたいホワイトアスパラガスの魅力
白い黄金、貴婦人の指、食べられる象牙……。
実はこれ、すべてホワイトアスパラガスのこと。ドイツでは、いくつもの別称が生まれるほど「ホワイトアスパラガス」が愛されているんです。全国民がこぞって食するその魅力を、日本におけるドイツ料理の第一人者で、ドイツレストラン「ツム・アインホルン」オーナーシェフでもある、野田浩資さんに教えてもらいました。
皮むき競争や女王コンテストもある、春の風物詩
ドイツ国内では3月中旬から出回りはじめるというホワイトアスパラガスは「シュパーゲル」と呼ばれ、6月24日の「聖ヨハネの日」までがシーズン。マルシェ(市場)が大量のシュパーゲルで真っ白に埋め尽くされると、「ああ今年も春が来たんだな」と実感するんだそう。
「各地でよく行われるのが、シュパーゲルの皮の早むき競争。テレビ中継されたりもするんですよ。シュパーゲル農家の娘さんたちのなかから、シュパーゲル女王を選ぶコンテストもあるんです」
と、まさにお祭り騒ぎなのだとか。
「シュパーゲル=桜」そのココロは?
なぜドイツ国民は、そんなにも熱狂的にシュパーゲルを愛するんでしょうか。
「日本でいう『桜』と同じなんですよ。見るだけで心が明るくなって、季節になったら花見をしないと落ち着かないでしょう? それと同じようにドイツの春には欠かせない存在です」
シーズンの最初はイタリアやベルギー産など南の地域、4月中旬頃になるとドイツ全土へと産地の「前線」が南から北へ移動するところも、なんだか桜に似ています。
「どの街でもシュパーゲルが作られているので、結局どこが一番おいしいの? とみんなに聞いてみるんですが、みな口を揃えて『(自分の)地元産が一番!』って言うんです(笑)」
1回の食事で摂取する量は、なんと500グラム!?
「シーズン中は、家庭でもレストランでも何度も食べます。しかも量もすごくて、たとえばオードブルひと皿に500gものシュパーゲルが使われます」
500gというと、ドイツ産のシュパーゲルなら7〜8本。小さめの日本産に置き換えると10本ほどになるというからびっくり!
シュパーゲルの淡くて繊細な味わいを引き立てるのが、卵と溶かしバターなどで作る「オランデーズソース」。塩とレモンでゆでたシュパーゲルにオランデーズソースをかけるのが、最もオーソドックスな食べ方のようです。
日本産のホワイトアスパラガスは、どう食べる?
日本でも各地でホワイトアスパラガスが栽培されており、4月頃から店頭に並び始めます。ドイツ産に比べるとサイズが小さめ。ドイツ産よりも皮がやわらかく、味わいも軽やかです。
皮をむいて5〜6分ゆでたものを食べてみると、鼻を抜けるほのかな青っぽさが、何ともすがすがしい。しゃきしゃきとした歯ごたえ、やさしい甘みがたまりません!
「ご家庭で食べる場合は、マヨネーズにホイップクリームを合わせたソースが手軽でおすすめです。あとは生ハムやスモークサーモンと一緒に食べてもおいしいですよ」
体験したらやめられない、新たな春の美食
「白いアスパラガスというと、年配の方は特に、缶詰の『ぐにゃっ』としたイメージが強烈にあるようです。そのため最初は避けられる方も少なくありませんが、一度召し上がったら『こんなにおいしいのか!』と、驚かれますね」
野田さんのお店「ツム・アインホルン」で4〜6月に実施されるシュパーゲルフェア中は、リピーターでいっぱい。数カ月前から予約が埋まるほどだそう。タケノコ、空豆、菜の花……春には多くの味覚がありますが、今年からはホワイトアスパラガスも必ず食べたいリストに追加したいですね。
野田浩資
ドイツレストラン「ツム・アインホルン」オーナーシェフ。ドイツ、ベルギー、モナコ、スイスと各国で修行。帰国後、ドイツ文化会館での出店を経て現在に至る。ドイツ料理の第一人者として様々なメディアでも活躍しており、日本滞在のドイツ人から「日本でもっともドイツの味を思い出させることのできる料理研究家」と評される。
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