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2018.03.23

読み物・コラム

「古いほど美味しい」は違う? ソムリエが教えるヴィンテージワインの基本

ヴィンテージワインというと「古いほど美味しい」「高額なほど美味しい」と思いがちですが、実は多くの人が抱いているヴィンテージワインの先入観は間違いだらけなのだそう。そこで今回は、ワイン好きならいつかは挑戦したい「ヴィンテージワイン」の基本を学びましょう。

「正しい基本を知ればワインは格段に面白くなります。この楽しさをどうしても知ってほしいです!」と、ワイン愛あふれる伊勢丹新宿店・グランド カーヴの吉良竜哉ソムリエが解説します。

Q1.そもそも「ヴィンテージ」って何?

A. ブドウの収穫年のことです

25年のヴィンテージワインと50年のヴィンテージワイン

「ヴィンテージ」とは「年」の意味。ブドウが収穫された年を指す言葉で、本来は「古い」という意味ではありません。そのため、昨年収穫された新しいワインも「ヴィンテージ」という年号があるのです。しかし多くの人が「ヴィンテージ=古いワイン」として捉えているため、ある程度経年したワインを指すことが多いのだそう。

「実は、ヴィンテージワインの定義に明確なルールはありません。一般的には、長期熟成したワインで、ラベルの表記が15年以上前のものが『オールドヴィンテージ』とされています」

今回の記事ではオールドヴィンテージワインの定義を

・ラベルに書かれている年が15年以上前のもの

とします。多くのワインは熟成を前提に造られますが、中にはフレッシュな果実味が魅力の「早飲みタイプ」のワインもあり、ヴィンテージ表記がありません。また「シャンパーニュ」も収穫年の異なるブドウをブレンドしているためヴィンテージがないものもあります。これらのワインはヴィンテージに対して「ノン・ヴィンテージ」と呼びます。

Q2.古いほど美味しいの?

A.いいえ、「ピーキング」が重要です

伊勢丹新宿店にあるオールドヴィンテージワイン用の保管庫

「ワインは熟成が進むほど味が変化します。カドが取れて丸くなり、味わいは繊細で複雑に、そして余韻はぐっと長くなります。しかし『熟成=美味しい』かといえば、決してそうではありません。ワインには味の『ピーク』があり、これを過ぎてしまうとかえって味が悪くなることもあるのです。輸入業者や我々ソムリエはその『ピーク』に出合う確率を上げるのが仕事ですが……ぶっちゃけてしまえばある意味、天気予報のようなもの。飲んでみるまでわからない部分もあります」

一般的なオールドヴィンテージワインの飲み頃は

・赤ワイン:15〜30年程度

・白ワイン:15〜25年程度

といわれています。ときには50年以上なんていう超オールド・ヴィンテージもありますが、ここまで古くてなおかつワインのピーキングが合っているのはレアケース。あまりに古いワインを購入するときは、お店のソムリエに状態を聞くことをおすすめします。

Q3.なぜオールドヴィンテージワインは高いの?

A. 熟成のコスト、希少価値が加わるからです

伊勢丹新宿店にあるワインセラー

「一般的に、安価なワインは早飲みに、高級ワインは熟成に適しているとされています。それに加えて熟成のための保管コストがかかり、さらに年々売れて本数が減るため希少価値が加わります。このためオールドヴィンテージワインは若いワインに比べて高額になります」

もともと高級なワインを長期熟成させる手間と時間を考えれば……当然安いはずがありませんよね。逆に考えれば、ある程度高価なことが品質の証しでもあるのです。安心して購入できるオールドヴィンテージワインの価格帯は

1万5千円以上

と覚えておきましょう。

Q4.当たり年のワインを選べばいいの?

A.あくまでも補助的なヒントだと考えましょう

ワインを注ぐイメージ

「ワインの原料であるブドウの出来が特に良い年を『当たり年』といいます。年ごとに異なるブドウの個性を愛でるのはワインの楽しみのひとつです。しかしこれは『若いワイン』にいえることであり、長期熟成したオールドヴィンテージワインはピーキングがより重要です。ヴィンテージを選ぶ上で、『美味しいワインに出合う確率が上がるヒント』くらいだと考えておきましょう」

代表的な当たり年は

・ボルドー:82年、90年、00年

・ブルゴーニュ:02年、05年、10年※まだピークではないが、数年後に良質な熟成が期待できる年

と覚えておくといいでしょう。ちなみに「当たり年」のワインは熟成させることが多く、「当たり年」でないワインは早めに飲みきることが多い傾向にあります。

Q5.買った当日に飲んでもいいの?

A.絶対ダメ! 買って1週間は休ませましょう

ワインのテイスティング

「長期熟成したオールドヴィンテージワインは、豆腐やヨーグルトのように少しでも刺激を与えると崩れてしまうような繊細なお酒です。持ち運びによって振動が伝わるとワインにストレスがかかってしまい、本来の1/3も魅力を発揮できなくなります。僕も一度経験があるのですが、運んだ当日のオールドヴィンテージワインは甘みがなく、薄い味だと感じてしまいました。また、ヴィンテージワインのボトルの底には色素などの『オリ』が沈殿しており、これがグラスに入ると舌触りが悪くなります」

・立てた状態で1週間〜10日程度保管する

こうすることでワインにかかったストレスを軽減し、オリはボトルの底に落ち着くのです。

Q6.オールドヴィンテージワインを開けるコツはありますか?

A. 時間をかけてゆっくり開けてください

オールドヴィンテージワインを開栓しているところ

ソムリエ直伝、ヴィンテージワインの開栓方法

  1. ボトルがすべらないよう、タオルなどの上に斜めに固定する
  2. ボトルを動かさないよう、そっとコルクを抜く
  3. オリが入らないようにゆっくり注ぐ

このように、とにかく慎重に扱うのが基本です。また、開けたばかりのオールドヴィンテージワインは味が「閉じている」ため、一度デキャンタに注いで「開かせて」もいいでしょう。注意すべきはグラスの扱い方。味を開かせようとついクルクル回したくなるのですが……なんとこれはNG行為。

「グラスを回す行為は、ワインにストレスを与え、味を無理矢理開かせることになります。プロのソムリエは短時間で香りを嗅ぎ取る必要があるために行いますが、本来は避けたほうがいいでしょう」

味を開かせるには、グラスに注いだあとしばらく放置するだけでOK。グラスを回すことがクセになっている方、うっかり披露して恥をかかないよう注意しましょう。

「オールドヴィンテージワインはじっくりと向き合うことが大切。繊細な味を楽しむには、料理と一緒にではなくワイン単体で味わうほうがいいですね。果実味だけでなく、キノコやドライフルーツ、ドライハーブ、細やかなスパイスなど、10個挙げてもまだ足りないほどの味のニュアンスを感じられますよ。また、ビギナーの方はいきなり何十年も前のヴィンテージを飲んでもピンと来ないかもしれません。最初は10年程度のヴィンテージから始めて、舌を慣らしながら少しずつ古いワインに挑戦してみるといいでしょう」

多くのワインラバーを虜にする魅惑のヴィンテージワイン。特別な日に、大切な人と味わってくださいね。

ヴィンテージワインはココで買えます!

伊勢丹新宿店のヴィンテージセラー

グランド カーヴ>ヴィンテージ セラー

伊勢丹新宿店本館地下1階<グランド カーヴ>内のヴィンテージ セラーでは約1,000種類にも及ぶ、高級ワイン・限定ワインが地域別、年代別に取り揃えられています。テイスティングカウンターでは、その時々でおすすめのワインが有料で試飲可能。セラーには 吉良さんをはじめとする5名の専任ソムリエが在籍しているので、ヴィンテージワインを購入したい際は、ぜひ、お気軽に相談してみてください。

文: 大久保敬太

写真:布川航大
※本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです。商品の情報は予告なく改定、変更させていただく場合がございます。
※未成年の飲酒は、法律で禁止されています。

バイヤー・スタイリスト / 吉良竜哉
伊勢丹新宿店本館地下1階「グランド カーヴ」のソムリエ。サッカー観戦、ライブ観戦、旅行、食べ歩きなど趣味は多彩。その趣味を生かして、ヨーロッパのさまざまなワイナリーを訪問。ワイン以外に日本酒も好むが、夏は泡盛を飲む機会が増える。

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