茶葉にたちのぼる土地の味。「日本茶テロワール」で、旅するティータイムを

古くからワイン用語として使われているフランス語で、産地独特の風味を意味する言葉「テロワール」。今は農作物やコーヒー、お茶の世界でも一般的に使われている言葉ですが、この「テロワール」をキーワードに、土地ごとの茶葉の風味、その楽しみ方を提案しているショップが伊勢丹新宿店地下1階にある「日本茶テロワール」です。

店頭には常時30種類ほど、全国各地の代表的な茶葉がずらり。これだけあると、どの茶葉を選べばよいのか迷ってしまう方も多いのでは？ そこで「日本茶テロワール」の今中寛之店長に、日本茶の選び方や淹れ方のアドバイス、この時期イチオシの日本茶についてお聞きしました。

選ぶコツは、味の好みと飲むシチュエーション

「甘い、渋いといった味のお好みや、食事やお菓子に合わせて飲のか、お水代わりに毎日飲むのかなど、お茶を飲むシチュエーションによって、おすすめの茶葉は変わってきます」と今中店長。店頭ではほとんどのお茶をテイスティングできるので、飲み比べて選ぶことも。店長をはじめ、お店のスタッフが茶釜で沸かしたお湯を適度な温度に調整しながら、一杯ずつ丁寧に淹れてくれます。

お茶をよりおいしく楽しむための温度

淹れ方の基本は、茶さじで山盛り1杯（ティースプーンなら山盛り2杯）の茶葉を急須に入れ、よく沸騰したお湯を使うのが大切なことだそう。そこから飲みたいお茶にあわせて、お湯の温度や、浸出時間を変えることがポイントになるのだとか。

「お食事に合わせるのであれば、少し渋さもあって、口の中をさっぱりさせるような熱めの淹れ方を。ただ、熱湯のまま淹れてしまうとカテキンやカフェインの苦みや渋み成分が強く出てしまいますので、加減していただけたらと思います。お菓子と一緒にリラックスしながら楽しみたいときは、お湯の温度を80℃以下におさえるとマイルドな味わいになります」。

「テロワール」を意識して味わってみる

土地ごとの土壌や気候によって、味に大きく違いが出る茶葉。たとえば、色は出にくいけれど、香りの良さ、上品な味わいを楽しむなら京都府産、濃いめの味わいが好みなら、静岡県産の深蒸しタイプを。また同じ県内でも、陽当たりのよい平地で育った里茶葉は発育が早いため濃厚な味わいになり、ゆっくり発育していく山の茶葉は旨味成分を多く含み香り高い味わいになるといいます。

今中店長によると、定番人気の茶葉は静岡県産の「川根茶 雪」（100g）1,080円（税込）。食事にもお菓子にもあわせやすく、バランスがとれたタイプだそう。また、海外からのお客さまには歴史が深く、品質の良さで知られる「宇治煎茶 露」（100g）2,160円（税込）が苦渋味が控え目で人気だとか。

この時期イチオシの茶葉はやっぱり「桜」！

お花見シーズンのこの時期にイチオシのお茶は、その名も「サクラノカオリ」という静岡県産の茶葉。クマリンという桜の葉に含まれる成分と同一の成分が入っているとても珍しい品種とのこと。ティーバッグのみの販売で、より手軽に楽しめそうです。

＜日本茶テロワール＞ 一服茶包 サクラノカオリ（3g×10袋）648円（税込）

「香りは桜もちのような華やかさが特徴ですが、ほのかに香る程度ですので、どんな和菓子にも合わせられます。どのお茶でもそうなのですが、甘み成分は水からでも溶け出すため、水出しにすると渋みや苦みが抑えられた甘いお茶になります。これからのシーズンにおすすめの淹れ方です」

旅するような気分で、季節ごと、土地ごとの風味を楽しむこと。日本で暮らすことの楽しみが広がる日本茶の奥深さを味わってみませんか。

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