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2017.05.07

読み物・コラム

特大カステラに温泉のせんべい。定番の関西銘菓【にっぽん、いとお菓子。#9】

「にっぽん、いとお菓子。」は、全国の銘菓を年間1,500種類以上食べ尽くしている三越伊勢丹和菓子担当バイヤー・田中美穂さんがイチオシのアイテムをピックアップする連載企画。47都道府県ごとにセレクトし、北から順に日本銘菓の味わい深さを紹介しています。

今回は関西地方をピックアップ。奈良、和歌山、滋賀、大阪、兵庫の銘菓が登場します。

京都は、別記事にてご紹介しています。
歴史を知ればさらに味わい深くなる、京都の銘菓。【にっぽん、いとお菓子。#8】

各県の個性溢れる、関西銘菓5選

関西の銘菓

① 【奈良県】<松屋本店>吉野懐古 961円(税込)
② 【和歌山県】<那智黒総本舗>那智黒(なちぐろ)  (170g) 378円(税込)
③ 【滋賀県】<いと重菓舗>埋れ木 (6個入り) 864円(税込)
④ 【大阪府】<総本家 釣鐘屋本舗>名代芭蕉(なだいばしょう) (1本) 324円(税込)
⑤ 【兵庫県】<有馬せんべい本舗>炭酸せんべい(24枚入り) 540円(税込)

「関西地方は、日本を代表する古都・奈良や食い倒れの町・大阪など県の個性が際立つ地域。お菓子にも、地域の個性が溢れています。地元で長年愛され定番となった銘菓は、その土地に行ったことがない方でも、ついつい気持ちが引き込まれるはずですよ」(田中さん)

① 【奈良県】葛の美味しさがストレートに感じられる「吉野懐古」

松屋本店の吉野懐古

田中さん「日本有数の桜の名所で知られる吉野に店を構える<松屋本店>。『吉野懐古』は吉野山の桜をイメージして作った干菓子で、地元名産の吉野葛(※1)が使用されています」

──へぇ、奈良は葛の産地でもあるんですね。淡いピンク色がかわいらしくて、自然と気持ちが華やぎます。落雁に比べてちょっぴり粘度があって、とろけるような口溶け。和三盆のやさしい甘さのあとに葛の風味がやってきます。

田中さん「この豊かな風味は、吉野の山に自生する葛を、真冬で温度が低い吉野川の清流で精製して作られた吉野葛ならでは。しかも干菓子だから、葛湯やくずきりに比べて、葛本来の味わいがストレートに感じられますよね」

※1 葛粉にさつまいもの澱粉を混ぜた物を「吉野葛」といいます。割合としては、葛粉が全体量の50%以上になっているものをいいます。

② 【和歌山県】黒糖の甘さとコクのバランスに注目! 「那智黒」

那智黒総本舗の那智黒

──続いては、<那智黒総本舗>の「那智黒」。裏表にある「なち」「ぐろ」の刻印もどこかチャーミングですね。

田中さん「<那智黒総本舗>は明治10年の創業以来、黒あめ作り一筋。『那智黒』という名前の由来は、那智黒石で作られる黒い碁石をかたどっているから。碁石の生産は、紀州南部の名産品のひとつでもあるんですよ。黒あめというと、一見味の違いはほとんどないお菓子に思えますが、黒糖の甘さとコクのバランスに注目してください!」

──口に含むと黒糖のやわらかな甘さとコクが、体にじんわりと広がりますね。

田中さん「美味しさの秘密は、上質な黒砂糖を使用するべく、サトウキビの作付けから刈り取り、精製するところまで一貫管理しているから。製法も創業時からの伝統を守り続けているそうです。固定ファンがしっかりついているアイテムなので、店頭でも在庫を切らさないようにしています」

③ 【滋賀県】ふわっと広がる抹茶の風味「埋れ木」

いと重菓舗の埋れ木

田中さん「こちらは滋賀県彦根市の銘菓。彦根市は井伊直弼ゆかりの地で、地元では開国を決断した英雄として、銅像が建てられるほど愛されているんですよ。菓名は彼が青年時代を過ごした邸宅・埋木舎(うもれぎのや)にちなんで名付けられたそう」

──口の中に入れると白餡の甘さと一緒に抹茶の風味がふわっとが広がりますね。求肥は、弾力のあるしっかりした食感!

田中さん「手亡豆(てぼうまめ)を使った白餡はすっきりとした上品な味わいで、抹茶の風味を見事に引き立てます。最後まで抹茶の香りが楽しめる、風雅なお菓子です」

④ 【大阪府】サイズは実物大! 特大バナナカステラ「名代芭蕉」

総本家 釣鐘屋本舗の名代芭蕉

田中さん「<総本家 釣鐘屋本舗>は、日本最古の宮寺・四天王寺に納められた釣鐘をモチーフにした『釣鐘まんじゅう』が有名ですが、この『名代芭蕉』も忘れてはならない存在。生まれたきっかけはとってもユニークで、バナナが庶民の手に届かない高級品だった昭和初期に、バナナを食べてみたい! という庶民の願いを叶えるべく、生まれたのだそう」

─やっぱり大阪といえば、粉もの! 大きさもバナナサイズ、特大ですね(笑)。ひと口食べると、バナナの風味が口いっぱいに広がります。

田中さん「ガツンとした甘さがどこか懐かしさを感じさせますよね。インパクト抜群のお菓子です」

⑤ 【兵庫県】有馬温泉の炭酸泉を使った「炭酸せんべい」

有馬温泉の炭酸せんべい

田中さん「兵庫県からは名湯有馬温泉の定番土産『炭酸せんべい』を。せんべいに使われている有馬温泉の炭酸泉は、職人さん自ら炭酸泉源に足を運び、汲み取っているそう。しかも、1枚1枚手焼きで作られるんですよ」

──ふわっと軽くて、何枚でも食べられそう! ほんのり甘いところも好きです。

田中さん「パリッとした軽い食感で、初めて食べてもどこか懐かしさを感じる味わいですよね。グルテンが少ない小麦を使っているそうなので、それも独特の軽快な食感につながっているのだと思います」

地元の英雄にちなんだ銘菓や当時の高級品を和菓子で再現したものなど、ストーリー豊かな関西の銘菓。定番のお菓子でも由来を知ることで、地域の新たな顔を発見できました。

文: 西島恵

写真:八田政玄
※本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです。商品の情報は予告なく改定、変更させていただく場合がございます。

バイヤー・スタイリスト / 田中美穂
三越伊勢丹の和菓子担当バイヤー。全国の和菓子を年間約1,500種類以上食べている。

商品の取扱いについて

記事で紹介している商品は、日本橋三越本店本館地下1階=菓遊庵にてお取扱いがございます。
独自の味覚と感性で厳選した全国の銘菓をお届けするお菓子のセレクトショップ、三越オンラインストア「菓遊庵」はこちら。

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