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2016.12.20

ラベルのココを見て! プロが実践する日本酒選び5つのテクニック

伊勢丹新宿店・日本酒コーナーのイメージ

 

日本酒を選ぶとき、まずは「ラベル」を見ますよね。しかしラベルにはお酒の情報がびっしり書かれており、何を参考にすればいいのか混乱してしまうことも……。そこで日本酒と料理の美しいマリアージュで人気を集める「大塚 はなおか」の店主・花岡賢さんに、日本酒を選ぶときに役立つ5つのテクニックを教えてもらいました。

日本酒ビギナーなら専門店より「百貨店」がおすすめ

百貨店のお酒売り場

日本酒は地酒専門店からスーパー、コンビニ、そして通販と、さまざまな場所で買うことができますが、花岡さんは「知識のないビギナーにこそ百貨店のお酒コーナーがおすすめ」と言います。

「こだわりのブランド品が数多く並ぶ地酒専門店もいいのですが、店主の好みによって商品に偏りがでる場合もあります。その点、百貨店はトレンドやお客さまのニーズを考えたバランスのよいラインナップが特徴で、お酒の知識がない人でも好みや合わせる料理、シーンにマッチするお酒に出会うことができます。デパ地下で買ったお惣菜に合う日本酒を店員さんが選んでくれるのも、百貨店をおすすめするポイントです」

それでは早速、花岡さんが実践する「日本酒を選ぶテクニック」5選を紹介します。

その① 「価格帯」でタイプを予測する

膨大な種類がある日本酒ですが、味のタイプは主に2種類。まるで白ワインのような果実感が特徴の「フルーティ」か、米本来のしっかりしたうまみが楽しめる「穀物系」に分けられるのです。

「この分類は価格帯からある程度予想できます。高価な大吟醸はフルーティですし、安価な純米酒は米の味を強く感じるものが多いですよね。『高価=美味しい酒』ではなく、好みや目的に合わせて価格帯を選ぶとよいでしょう」

四合瓶(700ml)の場合の価格帯の目安

1,000円台前後〜

穀物系が多い

2,000円台前後〜

フルーティ系が多い

3,000円以上〜

フルーティ系、贈答用や特別なときの高級品

実はこれ、原料であるお米の外側をどれほど削ったかという「精米歩合」と深い関係があります。米を多く削るほど雑味が減ってきれいな酒質になり、その分価格も高くなります。逆に削らないほど米のうまみがしっかり残り、価格も安価なものが多くなる傾向があります。

その② ラベルに「純米」があると長い余韻を楽しめる

純米酒のラベル

ラベルに書かれた「純米吟醸」や「純米酒」の文字。これは「お米だけを使って作ったお酒」ということを意味しています。「純米」の表記がない場合は醸造アルコールなどを添加して作った「本醸造酒」ということ。

「『純米酒の方が美味しい』と考えている人もいますが、それは間違い。『純米酒』は長い余韻があり、『本醸造酒』はすっきりしたキレが魅力。求める後味によって選び分けましょう」

しっかり余韻を堪能するなら純米、すっきりと飲み疲れせずに飲み進めるなら本醸造。食事を進めるなかで「純米」→「本醸造」とシフトするのもテクニックです。

※食事に合わせた日本酒の選び方は、年末年始のパーティは日本酒で! プロ直伝・日本酒の選び方、飲み方をご覧ください

さらに「本醸造酒」は味がくずれにくいのもポイント。しっかり熱い熱燗ならば「本醸造酒」を選びましょう。

その③新酒の季節はフレッシュな「生」をセレクト

「生」の日本酒のラベル

新酒が出回る12月頃になると増えるのが「生」のラベルです。多くの日本酒は発酵が終わると加熱処理をして品質の劣化を防ぎますがこの工程を行わないのが「生」のお酒。(※1)

「『生酒』はビンのなかで酵母が生きており、新酒の12月~3月まではフレッシュな味わいが楽しめます」

「生」の酒は、味の変化が早いので注意。購入したら冷蔵保管は必須です。また、お燗にも不向きと考えましょう。

※1 通常、日本酒製造では2回加熱処理を行う。加熱処理をまったくしない酒を「生酒」、1回だけ加熱処理する酒を「生詰め酒」「生貯蔵酒」と呼ぶ。

その④ 製造年月日から半年を超えたら、店員さんに確認しよう

繊細で品質管理が難しい日本酒は、出荷からどれだけ経っているかも重要なポイント。ラベルの下の端の方に書かれている「製造年月」や「BY」(※2)に注目しましょう。

「ラベルの製造年月日から半年以上経っている日本酒は、蔵元の想定していない味質に変化している場合があります。日本酒は熟成によって味が乗ってくるものも多くありますので、どちらにしても見つけた場合は店員さんにお酒の状態を聞きましょう」

※2 日本酒独自の酒造年度。「BY28」なら平成28年7月1日〜平成29年6月30日までに作られたお酒ということ。

その⑤ 料理から選ぶと日本酒のタイプが決まる

「日本酒=和食、珍味」と思っていませんか? 実は日本酒はさまざまな料理とマッチするオールマイティーなお酒。その日の料理を先に決めることで、自ずと相性のいいお酒に辿りつけるのです。

<料理とお酒の相性の例>

  和食全般=穀物系の日本酒
  野菜料理、イタリアン=フルーティ系の日本酒
  焼肉、韓国料理=にごり酒(辛口)
  てんぷら=スパークリング日本酒

日本酒は数え切れないほど存在するので、困ったら迷わずに店員さんに聞くのも一つの手。選ぶワクワクを楽しみつつ、好みやシーンに合わせて今日の1本を選びましょう。

花岡賢さん取材協力:花岡賢

東京・大塚の居酒屋「大塚 はなおか」店主。「飲食店日本酒提供者協会」理事。実店舗の経営のほか、日本酒提供者の基礎検定「SAKEアドバイザー」や、「日本酒提供者マイスター」の資格認定などを行う。

 

文: 大久保敬太

写真:山田和幸
※本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです。商品の情報は予告なく改定、変更させていただく場合がございます。

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