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2016.05.21

読み物・コラム

地酒・郷土野菜・ジビエをアウトドアで楽しむ! 酒で地域と人をつなぐユニット「SOTONOMO」

アウトドアでお酒を飲む楽しさを提案するSOTONOMO(ソトノモ)は、酒類サプライヤー、バーテンダー、クリエイターが運営する異業種ユニット。山村や河原、畑の側など、自然を身近に感じられる場所で地元の食材やお酒を楽しみ、食や地域への理解を深めるイベントを開催しています。

今回は長野県南信州泰阜村(やすおかむら)で里山の恵みをいただくイベントを主催し、お酒の力を通じて人と土地をつなぎました。

お酒で土地や食材を知るきっかけを作りたい

SOTONOMOのイベント風景

「酒店で働くうちに、仕事を通してお酒をアウトドアで飲むニーズがとても大きいことを知りました。お酒はただ味わうだけでも楽しいのですが、そこに食材や産地のことを知る、アカデミックな要素が加わったらもっと楽しめると思い、イベント化することにしたんです」

そう話してくれたのはSOTONOMOの小林卓也さん。イベントにはできるだけ地元の食材や地酒を用い、地域の風土をまさに五感で感じられるようにセッティングしているのだそうです。例えば過去には、「Farmer’s Garden Table」と銘打ったイベントを他団体と共催。畑のすぐ側にテーブルを設置し、食材が採れたその場所を眺め、風を受けながら飲食をすることで、自然の恵みを全身で感じる企画を実施しました。

ジビエに川魚、旬の野菜。山の恵みいっぱいの泰阜村

泰阜村の風景

今回イベントが開催されたのは、南信州泰阜村。山手線の内側と同等の面積におよそ1,700人が暮らす山村です。

美しい日本の里山の風景が残る泰阜村では、山の恵みをたっぷり受けられます。さまざまな作物の北限と南限が交差しているため、米はもちろん、あらゆる種類の野菜を村の中で生産し、旬の味を堪能することができるのです。

今回はそんな泰阜村で豊かな食の経験と南信州のお酒を楽しもうと、20名以上の参加者が集まりました。ほとんどが東京近郊からの参加で、車で4、5時間かけての到着です。

村自慢の素材が集結! 見たこともない珍味も並ぶ

泰阜村の食材

イベントには、村人が作った特大のしいたけやほうれん草、在来種のこんにゃく芋で作ったとろけるようなこんにゃく、生で食べられる川魚・アマゴ、珍味の岩茸、旬のタケノコ、そして鹿やイノシシといったジビエが集まりました。

さらに、この日使用した地元のものは食材だけではありません。なんとスプーンも地元のもの。泰阜村の自然に惹かれた木工アーティストが地元の木材を一つひとつ小刀で削ったものが使用されました。

ほうれん草を手がけるのは、移住して農家を始めた阿久津さん

ほうれん草農家の阿久津宗徳さん

ほうれん草の生産者、阿久津宗徳さんは「地域おこし協力隊」で泰阜村に来たことをきっかけに移住してきた新参の村人です。

「泰阜村には大規模な畑を持って大儲けしている農家はいないけれど、食べるものはいっぱいある。山の恵みもそこここにある。面白いなぁと思って移住しました。私の作る野菜は、決して多くはありませんが、手塩にかけて育てているので、『泰阜村の阿久津のほうれん草が食べたい』と言ってもらえるようになってきました。うちのほうれん草は無農薬栽培したもので、給食にも出しているんです。生で食べてもとっても美味しいですよ」

かつては流通されなかった鹿やイノシシも、今では利用されるように

獣害対策のために捕獲していた鹿やイノシシは、これまでは一部の美味しい部分の肉だけを食べ、残りの部分は埋設処理されていました。しかし、移住してきた猟師の井野春香さんの「もったいない」という精神によって、皮が利用されるようになり、肉も流通を考えているといいます。

「私はもともと動物が大好き。自然と関わる仕事がしたくて猟師になりました。かつては山の恵みとして当たり前に食べられていたジビエですが、時代の移ろいとともにあまり食べられなくなり、今では食べ方を知らない人も増えました。せっかくの命なのにただ捨ててしまうのはもったいない。みんなで美味しくいただいて、豊かな食生活を味わう方がいいと思うんです」

そんな移住者たちを受け入れる村の代表、副村長の横前明さんは「泰阜村は日本の里山の原風景が残る貴重な場所。住民一人ひとりが充実した幸せな暮らしを営むことができる村おこしをしていきたい」と話します。

満天の星空のもとで、地元の食とお酒を味わう!

SOTONOMOのイベント風景と料理

泰阜村の方々の協力を得て集めた食材は、都内のお店でシェフをしている菅原丈さんと参加者がともに調理。参加者はここでしか味わえない数々の料理に舌鼓をうち、「貴重な体験ができた」と満足げでした。

SOTONOMOのイベント風景、南信州醸造の酒この夜提供されたビールやウィスキー、日本酒も南信州で造られた地元のもの。村の凛とした空気にあう、キリリとした味のお酒に酔い、参加者と村人の距離は自然と縮まります。人家の少ない山間は星の数も感動的な多さ。満天の星のもとで生産者と一緒に味わうお酒や料理は格別な味となりました。

美味しく楽しく新しい世界観に浸ることで視野や人脈が広げられるイベントは今後も要注目です。

 

SOTONOMOのイベント風景

SOTONOMO
外でお酒を飲む楽しさを提案するユニット。畑の側から川べりまでアウトドアでいかに自由にお酒を味わうか、シーンとお酒の最高のマッチングを探し求めている。

文: 大川祥子

写真:蔦野裕
取材協力:泰阜村・村づくり振興室

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