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2016.02.17

読み物・コラム

買う、知る、暮らす。食をとりまく人が集う「KYOCA Food Laboratory」

 「KYOCA Food Laboratory」(以下、KYOCA)は、京都市中央卸売市場の隣に建つ「京果会館」をリノベーションした複合商業施設。青果の卸売りを行う京都青果合同株式会社の子会社が1970年に建てた社屋で、建物の老朽化が進んでいたため取り壊しが決まっていました。

しかし、「食の情報の拠点」として利用できないかというアイディアが浮上。2014年春、同社の「地場の野菜を大切にする」スピリットを受け継いだ施設として生まれ変わりました。

存在感のある「青果の総元締め」だった建物  

「KYOCA Food Laboratory」の外観

 「京都中央卸売市場の隣に建ち、青果の総元締めとしての存在感があるこの建物をなくしてしまうのはもったいないと思ったんです。生産者と消費者がつながる場、食の情報を発信する場にしたいと考え、リノベーションを提案しました」

そう話すのは、KYOCAをプロデュースした岡村充泰さん。ソーシャルイノベーターとしても幅広く活動する、ウエダ本社の社長です。

京都 ショコラボの様子

京都 ショコラボの様子

1階と2階はテナント、3階はイベントスペース、4階〜5階は住居になっているKYOCAでは、「食」をキーワードに買うこと、知ること、住まうことが一施設で展開されています。

1階には、耕作放棄地を再生するため就農者を育て、その生産者が育てた作物を販売する八百屋「My farmer」のほか、京野菜を取り入れたメニューを提供するレストランが入居。2階には、障がい者とパティシエがコラボレーションする工房「京都 ショコラボ」のほか、ハラールパンを開発する店や日本酒の研究所など、ユニークな施設が軒を連ねています。

「食」に関するあらゆる立場の人が集う

サロンで開催されるイベントの様子

3階にあるのは、キッチンを備えたサロンと、100名が収容できる講堂「hacoba」。日頃から、ワークショップやセミナーが開催され活気に満ちています。

「作り手の想いを感じられる日を一日でも増やそう」をコンセプトに不定期で開催されるイベント「/365(サンロクゴ!)」では、生産者や料理人、「食」に関するNPO法人の代表などをゲストに招き、料理家が作った料理を中心に大勢でテーブルを囲んでいます。参加者は主にSNSで参加を表明。

季節ごとに開催される「FARM to TABLE」は生産者、加工者、消費者の交流を目指し、生鮮食品や加工食品の販売や、調理体験、食にまつわる展示などが行われ、子供から大人まで多くの来場者で賑わいます。このほか、料理教室の主宰者や食育関係者らを囲んで新しい食のあり方を考えるトークセッション「あたらしいフード会議」の開催も回数を重ねています。

食に関心が高い人が集う場所となった結果、今や設立時には想定しなかったイベントも開かれるようになり、先日は「食」をテーマにした結婚式が行われました。

4階~5階のレジデンスは、食に関心のある方々の住居や事務所として、また長期滞在の拠点として利用されています。

KYOCAに集う人の力で地方を元気に

こうしてKYOCA全館を見渡すと、食との向き合い方は立場によって随分異なることがわかります。作物を育てる人、研究をする人、調理をする人、食で交流する場を作る人、それを楽しむ人……。

岡村さんは「KYOCAに集う人の力を通して、全国の地方を元気にしたい」と言います。

「京都中央卸売市場には、競りのために全国から生産者が訪れます。隣接するKYOCAにも足を運んでもらい、さまざまな角度から食について学ぶことで、地元の産物の発信方法のヒントをつかんでほしい」

青果の総元締めとして物流をコントロールしていた場所が、食の情報を発信する場所へ。KYOCAでは今日も食に関する新しいアイディアが生まれ、発信されています。

文: 黒田弓子

写真:増田えみ、KYOCA(1枚目と4枚目)
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