鰻から味噌味まで!? 日本の食文化の多様性を物語る、ご当地すき焼き_1

今も昔も、とっておきのごちそうと言えば「すき焼き」。甘辛い割下がからんだ霜ふりの薄切り和牛、そして牛脂の旨味が染み込んだネギやお豆腐の味わい……。これぞ大人も子供も楽しめる「鉄板」メニューと言えるのではないでしょうか。 ところでこのすき焼きに、ちょっと風変わりなバージョンがあるのをご存知ですか? すき焼きの概念を覆す2つの「ご当地すき焼き」を、三越伊勢丹食品統括部の板津貴史さんと霞怜子さんにご紹介いただきました。

牛肉の代わりに鰻!? 琵琶湖発「じゅんじゅん」

すき焼きと言えば牛肉、と思ったら大間違い。なかには鰻(ウナギ)が主役のすき焼きだって存在するのです。「じゅんじゅん」は、滋賀県・湖北/湖東地方で食べられてきた郷土料理。たっぷりのゴボウやネギとともに甘辛いタレで鰻を煮込んだ、まさに鰻のすき焼きです。

鰻から味噌味まで!? 日本の食文化の多様性を物語る、ご当地すき焼き_2

かつて琵琶湖の漁師たちがたまたま獲れた鰻をすき焼きにして食べたのがはじまり、とも、蒲焼きにならないサイズの鰻を煮込んで食べていた、ともいわれています。ちょっと可愛らしい響きの「じゅんじゅん」という名前は、鍋で煮込む際の音に由来。この地方では鰻に限らず、すき焼き風鍋の総称としても使われている言葉だそうです。

とろけるような鰻の舌触り 気になるその味わいは?

「甘辛い煮汁で煮込まれた鰻はふんわりとろけるような舌触り。おともに入れるゴボウが余分な脂を吸ってくれるので、さっぱりといただけます」と板津さん。「生の鰻を手に入れるのは難しくても、蒲焼きを使えばご家庭でも手軽に作れるので、ぜひ試してみていただきたいですね」。グローサリー担当の霞さんは、「蒲焼きのタレと煮汁のマッチングも抜群です。お好みで花山椒を加えても美味ですよ」と付け加えてくれました。

文明開化の地で生まれた、すき焼きのルーツ「牛鍋」

すき焼きが現在の形と名前になる以前、厚切りの牛肉を甘味噌でいただく「牛鍋」という料理が文明開化の地、横浜で大流行しました。現在でも当時のままのスタイルの牛鍋を食べさせる店が残っているそうです。当時まだなじみの薄かった牛肉の臭みを消す、というのが味噌を使った理由。また、牛肉が薄切りではなくぶつ切りなのは、考案した店主が肉を薄く切るのが面倒だったから、という説も!?

鰻から味噌味まで!? 日本の食文化の多様性を物語る、ご当地すき焼き_3

味の決め手は甘味噌

板津さんによると「濃厚な甘味噌と厚切り牛肉との相性は抜群です。とろける牛脂を味噌の甘みが心地よく包み込んで、飽きずに食べられます。レア気味でいただくのがおすすめですよ」とのこと。また、使用する味噌は、「江戸甘味噌」がおすすめ。「これにみりんや出汁を加えて練り、一晩寝かせておくと味わいが濃くなり、割下ともよくなじみます」と霞さん。 日本の食文化の多彩さの一端を物語る「鰻のじゅんじゅん」と「牛鍋」。どちらも家庭で手軽に作れる、ごちそう鍋料理です。こんなルーツの話題とともに、おもてなし料理のレパートリーに加えてみるのもいいかも知れませんね。

文: 東海林美佳

※本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです。商品の情報は予告なく改定、変更させていただく場合がございます。

  • スタイリスト/板津貴史

    三越伊勢丹 食品統括部 食品第一商品部 生鮮 アシスタントバイヤー。「作り手とお客さまをつなぎ、その両方に感動していただけるような商品をご提供していきたいと思っています」。

  • スタイリスト/霞怜子

    三越伊勢丹 食品統括部 食品第一商品部 グローサリー アシスタントバイヤー。「生産者の想いとこだわりがたくさん詰まった商品や、日本の風土や地域ならではの未来に食べ継いでいくべき食文化を伝えていきたいです」。

商品の取扱いについて

記事で紹介している商品は、日本橋三越本店本館地下1階=フレッシュマーケット/吉川水産、精肉の二幸、グロッサリー/広布屋、あぶまた味噌にてお取り扱いがございます。

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