北陸の銘菓

「にっぽん、いとお菓子。」は、全国の銘菓を年間1,500種類以上食べ尽くしている三越伊勢丹和菓子担当バイヤー・田中美穂さんが、特に食べてほしい!というアイテムを各47都道府県ごとにセレクト。北から順に日本銘菓の味わい深さを紹介する連載企画です。

第5回からは、中部地方を全3回に分けてピックアップ。今回は、中部前編として、新幹線開業以来都心からのアクセスもグンとよくなり、観光地としても根強い人気を誇る北陸地方(富山・石川・福井・新潟)の銘菓をご紹介します。

古きよき日本の面影を残す、北陸の和菓子4選

北陸の銘菓

① 【富山県】<薄氷本舗五郎丸屋>薄氷(10枚入り) 1,080円(税込)
② 【石川県】<落雁諸江屋>花うさぎ(15粒入り) 432円(税込)
③ 【福井県】 <松岡軒>羽二重餅(20枚入り) 735円(税込)
④ 【新潟県】<瑞花>うす揚 えび味(1袋) 389円(税込)

「北陸エリアの特徴をもっとも表しているのが金沢を有する石川県。お茶文化が発展し、江戸時代には和菓子の生産が盛んになった地域です。富山や福井など金沢以外のエリアにも昔ながらの味わいを一貫して守り抜いてきた和菓子が多いですね」(田中さん)

① 【富山県】冬景色を切り取った、儚き砂糖菓子「薄氷」

薄氷本舗五郎丸屋の薄氷

──まずは江戸時代後期にあたる1752年から作られているお菓子「薄氷」から。箱をあけると、お菓子が綿で包まれていて驚きました。なんだか神聖なものを扱うような気分になりますね。 

田中さん「食べる前から、このお菓子の世界観が広がっていますよね。『薄氷』は、水田に氷が張った富山の冬の情景を切り取ったもの。綿が敷き詰められているのは、このお菓子が薄い氷のように割れやすいからなんです。口当たりも、手にのせた氷がサッと溶けていくように、口の中で静かに溶けていきますよ」

──あ〜、本当だ。とても上品な口どけで、その儚さにも日本的な美意識を感じさせられます。食感も不思議ですね。薄いのに、外側はパリッとしていて、内側はサクサクとしています。

薄氷本舗五郎丸屋の薄氷の蛍とうさぎと銀杏

田中さん「富山県産のお米で作った薄いせんべいに、和三盆が塗られているんです。あと、季節限定のデザインもかわいくて人気なんですよ。一番人気なのが、夏の『蛍』(写真左下)。お月見の時期には『うさぎ』(写真左上)、秋になると『銀杏』(写真右)が登場します」

──シンプルなデザインで、季節を表現していて素敵! これは贈り物にも喜ばれそうですね。

 

② 【石川県】和三盆のやさしい甘みとスッとした口溶け「花うさぎ」

落雁諸江屋の花うさぎ

──花うさぎは、千代紙が貼られたようなパッケージがかわいいですね。中に入った和三盆もとってもカラフル!

田中さん「ひと粒ひと粒が薄い紙で包まれているのですが、その様子がうさぎに見えるからこの名前になったそうです。この甘味が疲れた体をスーッと癒してくれますよ」

──口溶けがよく、和三盆のやさしい甘さが上品ですね。

田中さん「甘さにトゲがないのは、和三盆だけでなく、餅米を乾燥させた『糒(ほしいい)』が入っているから。うるち米の粉を煎り、砂糖と混ぜて職人さんが作った木型で押し固めて作る、江戸時代から伝わる方法にこだわって作られています」

③ 【福井県】ふわふわ、とろん。極上の口当たり! 元祖「羽二重餅」

松岡軒の羽二重餅

田中さん「羽二重餅はいろいろなメーカーから出ていますが、天女のイラストが印象的なパッケージの<松岡軒>が元祖。創業から伝統の味を守り続けています。福井県の名産品でもある絹織物のやわらかさ、なめらかさを表現したお菓子なんです」

──本当にふわっふわで、まるで赤ちゃんのほっぺみたい。舌の上にのせると、ゆっくりととろけていきます……。ほかのお餅と一体なにが違うんでしょう?

田中さん「それは、私も教えてもらえないんですよ。材料の配合にポイントがあるようですが、詳しいことは企業秘密だそうです。やはり、和菓子は材料がシンプルな分、模倣されやすいので、その辺りはみなさん慎重ですね」

④ 【新潟県】一度食べると止まらない! やみつき必至の「うす揚」

瑞花のうす揚

──<瑞花>の『うす揚』は、一枚ずつがとにかく大きくてインパクトがあります。

田中さん「日本人でこのおせんべいが嫌いな人はいないんじゃないかと思うほど、一度食べるとみなさんハマります。とにかく食感が軽い!」

──うわぁ、本当だ。絶妙な塩気とパリパリの食感……。パクパクいけちゃいますね!

田中さん「職人さんが手で揚げたあと、油をしっかりときって、割れないよう袋詰めも手作業で行っているそうです。ベーシックなのはえび味ですが、<瑞花>のお店ではゆずこしょう味、紫いもやチリなど季節限定のフレーバーもありますよ」

─こうしていろいろな味を食べ比べるのもおもしろいですね。

田中さん「見栄えも華やかだから、パーティやカジュアルな集まりにもおすすめです!」

北陸地方のお菓子は、味わいだけでなく、見た目や食感にもいにしえから続く日本の美が感じられます。大切な客人のもてなしにも、仲間内の集まりにも重宝する逸品が揃っていました。

「にっぽん、いとお菓子。」で過去に紹介した地域はこちら。
第1回 北海道編 北の大地が、ユニークな和菓子を生み出す
第2回 東北編   地元の食材をまっすぐ伝える東北銘菓
第3回 関東前編 地元の食材をひとひねり。北関東のオリジナル銘菓
第4回 関東後編 全国の和菓子が集まる関東で、愛される銘菓。

文: 西島恵

写真:八田政玄
※本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです。商品の情報は予告なく改定、変更させていただく場合がございます。

  • スタイリスト/田中美穂

    三越伊勢丹の和菓子担当バイヤー。全国の和菓子を年間約1,500種類以上食べている。

商品の取扱いについて

記事で紹介している商品は、日本橋三越本店本館地下1階=菓遊庵にてお取扱いがございます。
独自の味覚と感性で厳選した全国の銘菓をお届けするお菓子のセレクトショップ、三越オンラインストア「菓遊庵」はこちら。

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