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2015.07.30

ストリート男子が手がけるピーナッツバター「HAPPY NUTS DAY」

ストリート男子が手がけるピーナッツバター「HAPPY NUTS DAY」_01

千葉県九十九里町、潮っけの香る海沿いの畑で生まれたピーナッツバター「HAPPY NUTS DAY」。この小さなご当地ブランドを手がけているのは、もともとスケーター仲間だったという、中野剛さん、錦昭光さん、村井駿介さんら3人の男子たち。ストリートで遊んでいた彼らが「完全手作り」のピーナッツバターを世に送り出すことになった、フレッシュでクランキーな物語をどうぞ。

国産原料・添加物一切なし、焙煎の香り高いピーナッツバター

「HAPPY NUTS DAY」の原材料は、千葉県九十九里産のピーナッツと海塩、北海道産のてんさい糖の3つのみ。素材そのものの味で勝負するからこそ、おいしさの秘訣は焙煎の技術にかかっているのです。ピーナッツをしっかりと深煎りすることで香りを引き出すという手作り製法に合わせて、千葉県内の工場でオリジナルの生産ラインを組み、日々焙煎職人さんたちが腕をふるっています。

ストリート男子が手がけるピーナッツバター「HAPPY NUTS DAY」_02

しかし、30秒でも焙煎時間にズレが出ると、途端に苦みが出てしまうピーナッツ。はじめのうちは何度もトライアルを重ね、焦げ付き具合の色見本を作り、何度も職人さんたちとやり取りしながら理想の焙煎を追求していったそう。そして、こんがりと焙煎できた後は、その香ばしさを閉じ込めるため、すぐにペースト加工へ。こうした時間との勝負が、無添加ピーナッツバターのおいしさを担保しています。

九十九里の景色がすべてを決めた

「HAPPY NUTS DAY」を営む中野さん、錦さん、村井さんの3人は、スケボーやBMX好きの仲間を通じて知り合い、いまもプライベートで遊ぶ友人同士。そんなストリート出身の彼らが、なぜ食品ブランドを立ち上げるに至ったのでしょう? そのヒントは、発起人である村井さんの地元・千葉県九十九里にありました。きっかけは3年前、発足当時の様子を中野さんはこう語ります。

「ある日、村井から突然電話がかかってきたんです。『うちの地元で何かやらないか?』ってね。聞いてみれば、実家が九十九里にあって、落花生をはじめ、トマト、白ネギなど60品目を育てる畑があるという。なんとなく楽しそうだなと思って気軽な気持ちで行ってみると、そこには最高の景色が広がっていたんです。この情景に一発でやられてしまって、もう次の瞬間には、『ここで何かやるしかない!』って思いましたね」

ストリート男子が手がけるピーナッツバター「HAPPY NUTS DAY」_03

潮風の香るまっさらな青空のもとで、極上のピーナッツが育てられている。

その後、中野さんの昔からの友人であり、神戸で精肉の流通をインディペンデントで手がけていた、いわば「食品のプロ」の錦さんが合流。こうして、ゼロからのピーナッツバター作りが始まったのです。

「農業って楽しい!」から、ピーナッツバターが地域活性の一端を担う未来へ

ブランドを立ち上げて間もない頃、六本木・森アーツセンターで開催された「PEANUTS展」の限定ショップからオファーが入り、スヌーピーを生んだコミック「PEANUTS」とのコラボパッケージが実現。その展覧会をきっかけに拍車がかかり、営業活動をすることもほとんどないまま、現在では全国60店舗ほどへ商品を卸しています。

一方、千葉県の農家との交流を重ねるうちに、日本国内の農業事情に問題意識が芽生えてきたと錦さんらは語ります。一年間手塩にかけて生産された落花生なども、需要の落ち込みによって非常に安価で買い叩かれてしまうという現実。また、後継者不足も深刻で、国内の農家は減少の一途をたどっています。

「料理なんてほとんどしたことがなかった僕らが、1個ずつピーナッツをすり鉢でペーストにするところから始まり、わいわい遊んでいたらこの商売が始まっていたという感覚があります。でも、国内にピーナッツバターのインディーズブランドなんてほとんどなくて、生産量が減っている落花生において、気が付けばブルーオーシャンな市場があった。こうしたピーナッツバターみたいな存在って日本国内にはたくさんあると思うんです」

そう語る中野さんらは、スケーターの友人たちを招き、九十九里での農業体験ツアーなどもたびたび実施しています。

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ストリート男子が手がけるピーナッツバター「HAPPY NUTS DAY」_05

スケーター仲間20人強が集結した農業体験。

「友人たちに農業を体験してもらうと、みんなすごく楽しんでくれるんですね。そういう現場を見て、農家のおじちゃんたちも喜んでくれて。最近では、僕らみたいなタイプの人間が農業や食品流通に関わることで、農家を元気づけられることもあるのかな、と感じるようになりました。今後は農家と直接契約を結ぶなどして、もっと適切な値段で落花生を買い取りできるような仕組みも考えていきたいと思っています」

「HAPPY NUTS DAY」の楽しい挑戦は、まだ始まったばかり。まずは九十九里の風をたっぷり吸収した、香ばしいピーナッツバターの味わいをお試しあれ。

ストリート男子が手がけるピーナッツバター「HAPPY NUTS DAY」_06

HAPPY NUTS DAY

左から村井駿介さん、錦昭光さん、中野剛さん。2013年に創業し、さまざまなイベントやブランドとコラボレーションをしながら、オリジナルのピーナッツバターを発信している。

文: 塚田有那

写真:HAPPY NUTS DAY, 商品写真: Kin Mizuki

商品の取扱いについて

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