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2015.07.14

【魚のプロ】さわらの幽庵焼きのレシピ。漬け込み時間は30分が基本! ぶり、鮭でも美味◎

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手間がかかる、下処理が大変、匂いが残る……。家庭で日常的に魚料理を作るのは、少々ハードルの高さを感じてしまいますよね。もっと簡単に、おいしくお魚を楽しみたい! 

そんな願いを叶える、古くから伝わる日本人の知恵が「漬け込み」です。伊勢丹新宿店の魚のプロ<東信水産>近藤小百合シェフに、「漬け」のテクニックを使った「さわらの幽庵焼き」のレシピを伝授していただきました。

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短時間の漬け込みで、魚の旨みがアップする「幽庵焼き」

<東信水産>近藤小百合シェフの画像

「『漬け込み』とはもともと傷みやすい魚を保存するために発達した技術ですが、それだけではありません。タレに漬けることによって、魚本来の風味と旨みがぐんとアップするんです」

近藤シェフは漬け込みのパワーをそう話します。中でも今回教えてくれるのは、江戸時代に考案された伝統的な料理「幽庵焼き」です。

「『幽庵焼き』の特長は、どの家庭にもある醤油、酒、みりんでできることです。他の漬け込みとは異なり、長時間熟成は厳禁。醤油で身がかたくなりますし、なによりしょっぱくなってしまいます。短い時間で効率的に味をしみ込ませて、魚の旨みを引き出すのです」

魚種を選ばないのも「幽庵焼き」のポイント。例えば秋なら鮭を使ったり、冬ならブリなどもおすすめ。季節の旬の魚で楽しめるオールラウンダーなのです。今回は青魚のさわらの切り身で実践してもらいました。

さわらの幽庵焼きPOINT①:最初の「塩」こそ、漬け込みの命!

漬け込み用に塩をふりかけて下処理している画像

タレに漬ける前に、まずは魚の下処理。切り身の皮目に塩をまんべんなく振りかけて30分おきます。この下処理こそ、実は漬け込みをするうえで一番大切なポイントなのだそう。

「塩をかけることで、皮目にある臭みやえぐみが水分として外に出てきます。このひと手間を加えるだけで、見違えるほど上品な味になりますよ」

さらに、組織にある水分を吸い取ることで、漬けダレがしみ込みやすくなるという利点もあるそうです。30分後、切り身から出てきた水分をキッチンペーパーで拭き取ればできあがり。これくらい簡単なら、負担を感じずに取り入れられそうです。

さわらの幽庵焼きPOINT②:1:1:1の黄金比のタレに30分漬ける

醤油・みりん・酒を使って黄金比のタレを作っている画像

続いて、料理バットに漬けダレを用意します。醤油、みりん、酒の配合はすべて同じ1:1:1と、間違えようのないほどシンプル。そこに下処理を終えた切り身を漬け込むのですが、ここでのポイントは魚の脂。

「脂ののり具合によって時間を調節します。脂ののった魚なら1時間、さっぱりとした魚は30分ほどが目安でしょうか。繰り返しますが、『漬け込みすぎない』ように意識しましょう」

ラップをかぶせて満遍なくタレを行き渡せている画像

漬けダレの量は切り身が少し浸かる程度でOK。漬け込み中に1〜2回上下を返したり、ラップをかぶせると満遍なくタレを行き渡らせることができます。

漬け込みした魚のイメージ図

香り付けに輪切りにしたかぼすを浮かべれば、それだけでさっぱりとしておいしそう。季節によって柚子やレモンでも代用可能です。

「この漬けダレは本当に万能なので、作りすぎたら『マグロの漬け』など別の料理にも活用できます。とはいえ、一度漬け込んだ後のタレには魚の風味がしみついてしまいます。魚にはそれぞれの風味があるので、異なる魚種を同時に漬け込む時はバットを分けてくださいね」

さわらの幽庵焼きPOINT③:おいしい「焼き」は、焦がさず、触らず

漬け込んだ魚を焼いたイメージ図

漬け込みが完了したら、いよいよ「焼き」の工程へ。

「漬け込みと同じで、『やりすぎない』ことが大切。魚は肉よりも火が通りやすいので、焼き過ぎるとぱさぱさに。さらに醤油とみりんなので、火が強いとすぐに焦げ付いてしまいますよ」

オーブンなら220度で10〜13分、魚焼きグリルなら中火で焼き色が付く程度が目安です。※家庭のオーブンにより異なりますので、あくまでも目安です。

「魚の身は繊維がとても弱いので、焼きの途中は基本的には触りません。片面グリルの場合のみ、1回だけ返すようにしてください。焼き上がりの直前にハケで漬けダレを一塗りすれば、おいしそうな照りがうまれます」

付け合わせには、漬けダレを塗って切り身と一緒に焼いた季節の野菜を用意。爽やかな柑橘の香りとともに、「幽庵焼き」のできあがりです。

ひと口食べてみると……ほくほくした柔らかさと、しっかり付いた甘辛な味、心地よい清涼感にびっくり。これはまさに、お店の味です!

「さらに、魚を1度漬け込めば保存も効きますし、密閉の保存袋などに入れて冷凍庫で保存すれば、解凍せずにそのまま焼くことができます。魚の味を引き出して、保存もしやすい。『漬け込み』はいいこと尽くめの調理方法なのです」

魚種にかかわらず、気軽に実践できる今回の「漬け込み」で作る幽庵焼き。ぜひお試しください。

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近藤小百合シェフ近藤小百合シェフ

<東信水産>コーナーで、新鮮な魚料理をお客さまに届けるシェフ。自分の魚料理でお客さまの魚に対するイメージが変わることが、一番の喜び。

 

 

文: 大久保敬太

写真:蔦野裕

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伊勢丹新宿店本館地下1階=フレッシュマーケットから、季節のレシピをご紹介します。

※本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです。商品の情報は予告なく改定、変更させていただく場合がございます。

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