東京ピクニッククラブが提案する、お花見ピクニック・スタイル!_1

日本の春の風物詩としての「お花見」、桜を眺めながら酒や料理と会話のひとときを楽しむ。

「いまから300年前、享保の改革で江戸に桜を植えて『名所』をつくり『お花見』を庶民に広めたのは徳川吉宗だそうです」東京ピクニッククラブ(以下TPC)の太田浩史さんによると日本古来のお花見、さらに、ロンドンが発祥とされるピクニックには、共通して現代のお花見をもっと楽しむ秘訣が詰まっているのです。TPCが提案する『ピクニックの心得(全15か条、記事末尾に全文掲載)』に照らして見て行きましょう。

「料理は手軽に、しかし安易であってはならない」

東京ピクニッククラブが提案する、お花見ピクニック・スタイル!_2

ピクニックの心得の第7条に「料理は手軽さを旨とする。しかし安易であってはならない」とあります。TPC会員でフードコーディネーターの福留奈美さんは、今回のお花見ピクニックのお題に、お惣菜、和菓子はあえてすべて買い出しで揃えました。

「楽しむことが第一の目的なら、無理に手作りをせずに買ってきたもので良いのです。それが美味しくて、またその場を楽しめるための工夫があれば7条を満たしますね。屋外ですので片手、そしてひとくちで食べられる手まり寿司、串もの、おまんじゅう。そしてちゃんとした食器を使うことで、インスタントな軽さはなくなります。また、ピクニックの食事は、全部ひとりで用意しなくても良いのです。ひとり一品でよいから趣向を凝らして選び抜いたものをみんなで持ち寄れば、ひとつの豪華なテーブルができあがるからです」

第5条「ピクニックにホストはない。すべての人が平等な持ち寄り食事が原則である」に関わることですね。集う人の顔を思い浮かべて、それならばこれ、と選び抜くセンス。安易ではないけれど、気疲れをしないピクニックらしさ。桜がテーマのコーディネイトも、季節の話題への配慮が光ります。

「道具にこだわりを持つ。ピクニックは生活様式の表出である」

東京ピクニッククラブが提案する、お花見ピクニック・スタイル!_3

お気に入りの道具を持つことも大切です。第6条に「道具にこだわりを持つべし、ピクニックは生活様式の表出である」とあります。

「人に見せたくなるようなお気に入りの道具があれば、凝った準備も苦ではなくなります。そしてその道具に思想やライフスタイルが表出していれば、会話の糸口にもなり自己紹介ともなります」

今回は江戸時代の野点でのお花見をイメージして、アンティークの提げ重と酒器セットを準備。サイコロで飲むお猪口のサイズを選ぶ遊びの酒器、『遊興盃』も揃えました。

「思い思いに場を共有する、ゆるい集まりである」

東京ピクニッククラブが提案する、お花見ピクニック・スタイル!_4

第4条では、「ピクニックに統一性を求めてはならない。思い思いに場を共有する、ゆるい集まりであるべきである」と述べられています。「お花見会場ではしばしば飲み過ぎての乱痴気騒ぎもありますが自分のペースで楽しむべき」と福留さん。

「酒は酔うために飲まなくてもいい、花の下で出会う人々と、ゆっくりと時間を味わうために思い思いの方法で楽しむこと。余興で遊んでも、寝転んでうたた寝もご自由に」

また、太田さんは第1条を挙げ「ピクニックは、ある意味で合コン。かた苦しくない出会の場です。お互いを知るためのプレゼンテーションが道具や料理であり、そのための場所が街に開かれ誰でもアクセスできる公園や、桜の名所であるということです」

太田さんによるピクニッククラブ的お花見の効用は、名所をつくる! ことだそう。

「徳川吉宗が、桜を植えて名所をつくったように、小さいけれど「自分にとっての名所」を新たにつくることもできます。何もないけれど、実は座ると一本だけだが見事な桜が見える場所。それとも、昼間は騒がしいけれども夜にはしっとりと夜桜が楽しめる近所の道。そこに三々五々で同じ楽しみを共有したいひとが集えば、次はそれを見た人が集まってきて、しだいに新しい名所が誕生する。そこでまた新しい出会いが起こるかもしれない」

桜の花をみる「お花見」だけでなく、自由で気負わない人との出会い、新しい名所の発見。今年のお花見はそんな「ピクニックスタイル」を、取り入れてみませんか?

ピクニックの心得 by 東京ピクニッククラブ

1  ピクニックは社交である。形式張らない出会いの場と心得るべし。
2  蒸し暑い日には涼風のナイトピクニック。寒い日には陽だまりのランチピクニック、適した時間と場所を見つけて楽しむべし。
3  思い立ったが吉日。
4  ピクニックに統一性を求めてはならない。思い思いに共有する緩い集まりであるべきである。
5  ピクニックにホストはいない、すべての人が平等な持ち寄り食事が原則である。
6  ピクニックで労働を課してはならない。キャンプのような勤勉さとも無縁である。
7  料理は手軽さを旨とする。しかし、安易であってはならない。
8  煮炊きはしてはならない。しかし、お茶の湯だけは例外である。
9  道具にこだわりを持つべし。ピクニックは生活様式の表出である。
10 ラグに上がりこむのではなく、ラグを囲んで座るべし。ラグは集まりの象徴であるから。
11 ピクニックに事件はつき物である。悪天候、池に落ちる、食べ物が鳥にさらわれるなどのハプニングに遇っても泣いてはいけない。
12 ピクニックには三々五々集散すればよい。途中で帰る人を引きとめてはいけない。
13 ゴミを残して帰ってはいけない。
14 野営はピクニックには含まれない、ケンカをしても恋に落ちても、とりあえず帰路につくべし。
15 雨降りは新たな幸いと捉えるべし。楽しみのかたちはひとつではない。

東京ピクニッククラブが提案する、お花見ピクニック・スタイル!_東京ピクニッククラブ東京ピクニッククラブ

建築家の太田浩史(写真左)、都市研究者の伊藤香織(写真中央)を中心に2002年に結成された。ピクニックの元祖、ロンドンピクニッククラブの誕生200年の年から始まった東京ピクニッククラブでは、ピクニックの原形を歴史に探りつつ、自由で洗練された現代のピクニックの姿を提案する。都市居住者の基本的権利として「ピクニック・ライト」を主張し,社交の場としての都市の緑地や共有スペースの利用可能性を追求。アンティークピクニックセットのコレクションは120を超え国内最大を誇る。2015年5月31日まで市原湖畔美術館にて「ロマネコンティ・ピクニック EAT & ART TARO -美味しいの探し方-」に「湖畔ピクニックラボ」で参加中。 http://www.picnicclub.org/

文: 畠山美咲

写真:亀井宏昭

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